マクラーレンの決断のおさらい–カウントダウン企画 2018F1GP開幕まであと94日
F1開幕が楽しみになる、あんな話、こんな話。
(95からつづく)
マクラーレンは、ホンダと離婚してルノーを迎え、ホンダは、トロロッソと一緒に暮らすことになった。この離別と出逢いがどうなるか、これが2018年最大見どころと言ってもいいが、ここで、マクラーレンの“決断”を振り返っておきたい。
マクラーレンは、2017シーズン開幕時点ですでにホンダと別れることを決心していたのではないか、という声がある。それが本当かどうかは誰に聞いたところで真実は引き出せないはずなので、どっちでもいいが、いずれしても、この別離は、ホンダが言い出したことではなく、マクラーレンが判断したことだ。
しかし、マクラーレンは、ナンバー1のエンジンの供給を受けたいということでホンダを選択したはずだった。メルセデスのままでは、ワークスの二番煎じのパワーユニットしか回ってこないことを解決したかった。
しかし、彼らの想像以上に時間がかかり、3年目を迎えた時点で、すでに堪忍袋の緒が切れていたということか。けれどルノーを選択したら、ワークス、レッドブルに続いて3番目のパワーユニットしか手に入らなくなるのではないのか、という疑問が浮かぶ。ホンダはついに闘える一歩手前まで来ているのに。
さらに、ルノーは、メルセデスに比べれば、非力。ホンダよりいいとしても、回ってくるのはナンバー3。そして、トロロッソのデザイン・グループがルノーから積み替えたホンダが、コンパクトなことに感心したというではないか。つまり、でかくなるパワーユニットでマクラーレンは苦労することになりそうだ。
マクラーレンのレースディレクターのエリック・ブーリエは、そんなことにも気付かないのか。いや、もともともマンスール・オジェーの飼い犬なら、仮に気付いていたとしても、オジェーに尻尾を振るしかない?
ブーリエがそういう存在だったとして、不思議なのは、フェルナンド・アロンソの考え方だ。アロンソの明晰な頭脳は知られたところ。F1チームがどうあるべきかを熟知しているはずだ。オジェーであろうが誰であろうが、間違いであることを認識する能力があるはずだ。そのアロンソがなぜマクラーレンとの契約を継続したのか、これはなかなか理解しにくいではないか。
(93につづく)
[STINGER]山口正己
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