【山口正己の提言】コロナ騒動とマスコミ その2
(その1からつづく)
メディアと市民の新しいカタチ
私たちは、生理学的な見地でウィルスから自分自身や家族、友人、見知らぬ人々の身を守ることに専念しなければならない。
それと同時に、企業側の休業自粛による損失の発生や不安定な雇用状態の改善など、経済的な視点からウィルスに対抗するための経済の変化とも闘わなければならない。企業と労働者は、従来の利害の相反関係を超えて、お互いにリスクを負う共同当事者であることを忘れてはならず、互いに協調していかなければならないのだ。
新型コロナウィルス肺炎の危機に直面している今、予定調和と我田引水を併せ持つことは、自分自身と大切な家族や友人をも滅ぼしてしまうことに直結してしまうと気づくべきということだ。
人間の思惑では食い止められないウィルス危機を前に、メディア・マスコミは「プロパガンダ」や「煽り」のような人為的な扇動は無意味でしかないことを深く理解するべきだ。
そして自然派性的な「人々を救うためのムーブメント」だけが、人が人を守ることに忠実になり得ることを、マスコミが真っ先に自覚して、「人々が助け合う」ムーブメントを人々に啓蒙し、喚起すべきだ。
目に見えないウィルスである以上、生理学的に「人が人を守れる」方法は人と人との接触を絶つ以外にないのだが、経済的にはさまざまな施策を用いての人が人を守るための「防御」と「支援」と「解決策」が数多く存在する。
歴史上、人類は共存共栄の理想の姿を巡って、東インド株式会社の創設以後、長い間、「資本主義」と「社会主義・共産主義」の矛盾と是非を論じ、数々の紛争と戦争を繰り返してきた。つまり人類vs人類で「理想を巡って」闘ってきたのだが、ここで考えておきたい。
今は人類77億人vs Covid19の闘いであって、77億人が「共存共栄」の利益を共有しているのだ。これは人類史上で初めての出来事と言っていい。見えないウィルスには無力であっても、経済的には、人類が協調することが求められていることは明白だ。
つまり、資本主義と社会主義は会い交わらない、相反関係にあるという既成概念が崩壊する事態に、私たちは初めて遭遇しているのだ。
(その3につづく)
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