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【山口正己の提言】コロナ騒動とマスコミ その3

その2からつづく)

リバタリアンとリベラル、富の再分配の議論

一般的に、とくに日本での「格差」という言葉の定義は、持てる者と持たざる者、つまり金持ちとそうでない者を分類することだ。

経済学的には、持てる者に多く存在する概念をリバタアリズム、彼らをリバタリアンといい、他方で持たざる者に多く存在する概念をリベラリズム、リベラルという。

人は皆、生まれた瞬間は平等であり、「格差」という定義は持たざる者からの視点でしかない。だが一方で、“弱者保護は美徳”という見方があり、「格差是正」という修正的な言葉も多用される。

しかし、金持ちの中に、「個人の自由が常に奪われている」と感じる人々が存在することも事実だ。彼らの中には、個人の自由を求めて努力した結果として金持ちになったのに、国と法制度の名の下に強制的に税金を徴収されたり、法律に縛られたりして、個人の自由を常に抑制されたり奪われている、と嘆き憂う人が数多く存在する。

哲学や倫理学的な要素も加味されるので実際に定義するとなると、更に複雑になるのだけれど、要するにこれがリバタリアンといわれる人々の概念なのだ。

「格差」に不平を言う人々が「生まれながらにして平等」なら、金持ちの彼らも同じように「生まれながらにして平等」なのだから、「個人の自由を奪われ続けている」という意見を無視するわけにはいかなくなる。しかし、現実には金を持たない者たちが、「格差」に不平を唱えれば、まるで「聖人」として扱われ、意見が正しいと支持を得る。

一方、金持ちの「個人の自由を奪われている」という意見は、「貪欲」や「単なるエゴ」として扱われ、その意見は黙殺されてしまうのが実情だ。

リバタリアンにとって国家とは「富を強制的に搾取される存在」で、リベラルが懸念している「格差」よりもずっと深刻な問題とも言える。従って、リバタリアンからすれば、ただでさえ「個人の自由を奪われている」金持ちが、「富める者と持たざる者との格差問題」に取り込まれてしまうこと、ましてや「自由を奪われている人々」を持たざる者、リベラルの人々による偏った定義による「格差」の悪人に仕立てられてしまうのは、実に「酷」なことといえる。

前述の通りに、我々は、18世紀以降、資本主義の台頭で、社会主義・共産主義的な思想と対峙してきたが、テクノロジーの進化と同様に、経済も進化した結果、対峙するだけではなくて「融合させる」、つまり新自由主義の存在について議論されてきた。それが、リバタリアニズムとリベラリズムにおける「富の再分配」を巡る議論である。

ビリオネアであることを誰でも知っているビル・ゲイツの総資産合計は、12兆円と言われる。彼の余生と彼の曾孫とその子供までの4世代の家族を黙って養うのに1,000億円もあれば十分だろう。もっと贅沢を望んだとしても1兆円あれば充分だ。

では、残り約10兆円を貧困層や労働者階級に分配したらどうか。何万人が豊かになり、少なからず経済的に幸せになれることは間違いないだろうが、ビル・ゲイツは、マイクロソフトを創って非凡な才能で人類の生活に貢献し、利益を得た。凡人には計り知れない苦労を重ねた結果として、その資産を得たのだ。

かつては、アメリカ議会に独占禁止法を問われて企業人として生死をさまよったことさえある。そうして得たビル・ゲイツの資産を彼から奪い取ることは許されない、という考え方がある。

しかしリベラリズムは、ビル・ゲイツの経済活動による富は、地球(人類)という一つの協同組織の中で育まれた経済活動の結果であって、今日彼の資産となったマネーや富の源はビル・ゲイツ以外の他人によってもたらされたものなのだから、彼の資産は彼だけが独占するべきではない、と考え、よってビル・ゲイツの有り余った富は、他の人々に再分配されるべきだ、と考える。

これまでの資本主義社会の歴史をみると、この富の再分配をめぐる論争は結論を見出せていない。それは、かつての朝鮮戦争、ベトナム戦争、米ソ冷戦、キューバ危機、ベルリンの壁崩壊、ルーマニア独裁、北朝鮮問題、直近の米中貿易戦争に象徴される資本主義と社会主義や共産主義の会い交われない悶絶の繰り返しと分裂と紛争の歴史そのものだからだ。

その4につづく)

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