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【山口正己の提言】コロナ騒動とマスコミ その6

1987年日本GP。ウィリアムズとロータスにエンジンを供給していたホンダは、鈴鹿のピットにテレメータの記録装置を持ち込んだ。当時は、データ収拾方法が発展途上にあり、50mもの記録紙をエンジニアが目で拾ってまとめる作業が必要だった。

その5からつづく

ホンダの超先進テクノロジー

コロナ騒ぎが世間を揺るがし、世界的な経済にも打撃が及ぶことが懸念されているが、この騒ぎの収束に、F1が役立つ可能性がある。

すでにイギリスでは、F1チームのテクノロジーに対するハイレベルな経験と製作技術を期待したイギリス政府が、8チームに人口呼吸器の開発協力を依頼、具体的な作業に入っている。

古くは、発着数世界一のヒースロー空港が、フライトのコントロールに、レース中に緻密で正確な采配を行なうマクラーレンに対して、発着コントロールのシステム構築を依頼した。

4月23日の情報では、COVID-19での死者が世界で17万人を越えてしまったという。世の中大変なことになっているが、こんな中で、これまで生き残りをハイレベルに考えてきたF1GPは、何らかの対応策を考えているはずだ。さまざまなテクノロジーが高度である、ということだけでなく、そのテクノロジーの活かし方が秀逸なF1の今後が注目されている。

F1GPのポテンシャルは、まず、スポンサーにどうしてクレディ・スイスやバークレイが着いているのか、というポイントが注目される。世界の金融の流れとのつながりは、我々の想像のレベルをはるかに超えたところにあるのだ。

世界的な金融会社がF1マシンにロゴを貼るのは、単に“宣伝になるから”、という単純な理由ではない。もっと大きく地球規模で考えたときのパワーゲームのようなことが背後にあるのだ。

一方の生態観察は、F1と関係ないと思われがちだが、実は大ありだ。

例えば、ホンダの第二期を思い出してみると、生態との関係が見えてくる。エンジンが生態がとしたら、という視点で歴史をみると、なかなか面白い。

ホンダの第二期F1当時、テレメーターという言葉があった。近距離テレメーターと表現されることもあったが、遠距離もカバーしていた。サーキットを走るマシンとピットの間でその近距離テレメータが使われていたのだが、それだけではなかった。F1の現場と、イギリスのウィリアムズやマクラーレンのファクトリー、そして日本の和光、今で言うサクラだが、当時は、埼玉県和光市に研究所はあった。その三者が衛星回線を使って連携を取り合って、情報を共有していた。

テレメーターの“テレ”は、今言うテレワークの“テレ”と一緒と思えば理解しやすいかもしれないが、エンジンを生態だと考えると、それを観察して高度な闘いを展開する、というやり方を、すでに30年以上前にホンダはやっていたのだ。

テレメーターによる情報伝達は、ホンダがいわば発明し、1986年から使われ始めたが、実は、さらにそこから18年前の1968年の第一期ホンダF1時代に、その思考回路はすでに存在していた。空冷のホンダRA302の開発テストを行なった鈴鹿サーキットで、ピット裏に止めたハイエースのバンに計器を積んで、当時は6チャンネルで今から言えば単調なデータしか拾えなかったけれど、走行中に各部にかかる力などのデータを収拾していたのだ。

ホンダは、1960年代序盤に、2輪が世界的に売れ、財政的に順風満帆、それがあって、4輪の市販車は軽トラックしかなかったにも関わらず、F1へのチャレンジが始まった経緯があるが、潤沢な予算を投入できたことで、すでに2輪の世界GPで経験していたテレメーターを実用化し、F1の開発にテレメータリングを使うことが発想できた。1967年頃には、世界中で唯一、ホンダはテレメーターを使っていたのだ。

ホンダは1959年のマン島から本格的に世界に乗り出し、3年目に世界チャンピオンを奪った。F1はヨーロッパのものという考え方があるが、そこに東洋の島国が乗り込んだ、という流れは、2輪の時もそうだったように、F1GPでも同じだったのだ。

エンジンも生態と考えれば、これを医療の分野に活用できても不思議はない、ということなのだ。

その7につづく)

photo by [STINGER]

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