シリーズVSC :その35・イギリスGPが7月の理由
他愛ないことにこそ、面白さが潜んでいる?!
ルマンが6月に開催される理由はその34でお伝えしました。一方で、ドーバー海峡を渡ったイギリスにはちょっと別の事情が存在します。イギリスGPが7月上旬に行なわれる理由のヒントは、太陽。
イギリスGPが開催される頃のイギリスには、イギリスGPの他に、ボート競技の『ヘンリー・レガッタ』、『ウィンブルドンのテニス』、『全英オープンゴルフ』、そして『グッドウッド・フェスティバルofスピード』など、伝統的な競技が並んでいます。これは、イギリスの天候に関係します。
イギリスの冬は、とても厳しい。太陽を拝める時間がごくごく短いのですが、6月下旬から7月中旬にかけては、好天が多く、まさしく太陽の季節。厳しい冬を過ごすイギリスの人々が外に出たくなる。そういう季節だからアウトドアの競技が大々的に行なわれ、太陽を楽しみます。きっとイギリス人は我々日本人よりも太陽が好きなのだな、と思うほど。
と、ここまで考えて、ある仮説にたどりつきました。“アウトドアにはクルマがつきもの”。大好きな夏に行なわれる風物詩の数々にクルマが大切な必需品、だからイギリスはクルマが文化的に浸透/発達したのではないか、と。
生活の一部としてだけでなく、太陽を楽しむための“仲間としてのクルマ”。クルマファンやモータースポーツファンに限らず、イギリスの縮図が集まる『グッドウッド・フェスティバルofスピード』を観た帰り道で、行き交うクルマがとても幸せそうに見えたのは、そんな大人っぽいクルマ文化の仕業かもしれません。
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