優先席
◆最初は“シルバーシート”と呼ばれていた。1973年に登場したようなので、すでに50年近い歴史がある。しかし、できたときからなんかひっかかった。そもそも、優先席は特定の場所だけでなく、全部が優先席であるべきじゃないのか、と思うからだ。
◆東京の電車でいえば、JRも京王線も、車両の端っこの3人掛けだけが特別扱いになっているのは、ホントは奇妙なことなのに、それが普通になってしまった。
◆一方で、遠慮して優先席に座らない、というおかしな状況も出てくる。元々の意味は、譲るべき相手が来た時には譲る席、なので、そうでない場合は座っていいのだけれど、満員電車の中で空いている場面もあったりする。座りにくさも優先席の特徴になった。
◆その“優先席”にヘッチャラで座っているどう見ても老人ではない女を見ると、神経の太さというか無さというか、バカさ加減に恐れ入るけれど、そもそも何を基準にそこに座っても気にならないのだろう。男はひたすらバカだけど。
◆怪我をして包帯を撒いていたり、妊婦と分かれば権利は誰にも分かるけれど、80歳でピンピンしている人もいれば、50歳で疲れ切ったような人もいる。どうぞ、といわれて“オレはまだ若い”と気に障る人もいるだろう。
◆どうぞと初めて譲られたのは、もう10年くらい前。メルボルン市内からオーストラリアGP会場のアルバートパークに行くトラムの中で、アジア系と思しき女子大生に笑顔で言われた時、一瞬、何のことかわからず、後ろの誰かに声をかけているのと思って振り返ったが、後ろに人はいなかったのだった。
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