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	F1で巡りあった世界の空。山口正己ブログ

たったの顔面麻痺・その1『突然ビートたけし』

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2006年2月22日、バルセロナの合同テストでスーパーアグリF1チームが走った翌朝のことだった。原稿に追われ、かつ酷い時差ぼけで深夜2時まで寝られなかったのに5時に目が覚めた。眠りが全然深くならない。しかし、腹は減るので健康な証拠、と思ったが、どうやらそうでもなさそうだった。

佐藤琢磨に続いて、2日目は井出有治が走ったスーパーアグリF1チームは、時間のなさと戦いながらなんとか開幕戦にこぎ着けようとしていた。だが、人のことを心配している場合ではなかった。朝飯を食っている時に、異変に気づいた。左目がギュッと閉じられない。時間とともに症状が進化している。鏡を見たら、なんてっこったのビートたけし状態。左顔面が垂れ下がった情けない顔になっている。鏡の中の左右非対称の顔を見て、思わずう~んと唸り声が出た。

心配だった。不便だった。しばらくは人生真っ暗。笑顔が作れないもどかしさで、人と会いたくなくなった。しかし、もし仮に電気系統トラブルが顔面でなくて心臓だったら即刻死んでしまったわけで、つまりは顔でよかったのだ。

顔面麻痺になったお陰で気づいたことが山ほどあった。まず、世の中に顔が左右対称の人はいない、という当たり前のことが確認できた。自分の顔が左右対象じゃないから、他人の顔をそういう視点で見ていると、どの顔も多かれ少なかれ左右が違う。試しに、誰でもいいので顔写真を半分隠して比べると、左右が同じ表情の人はほとんどいないことが分かる。右はいい人に見えるけれど左は詐欺師っぽかったり、右は気が弱そうだけれど左はコワモテだったり。右は優しそうで左が意地悪そうだったり。そうして見た後で、もう一回その人の顔を全体像で見ると、右と左のドッチが作っている顔がわかるようになった。

そういうことをたくさん発見できた。発病1カ月ほど後のマレーシアGPでは、視察に見えたトヨタの渡辺捷昭社長に「一緒に写真を撮りましょう」、誘っていただき、最初は遠慮したが、左手で顔面を抑えながらの写真なんか、なかなか撮れるもんじゃない。第一、私が健常だったら、渡辺捷昭社長が優しい哀れみの心でツーショットに誘ってくれなかったかもしれない。なってよかった顔面麻痺、なのである。(つづく)

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