GRスーパースポーツコンセプトは、欧州連合への挑戦状?!
◆TOYOTA GAZOO Racingは、スタートを翌日に控えたルマン24時間の会場で、GRスーパースポーツコンセプトを公開した。発表の写真には、F1ドライバーのフェルナンド・アロンソも映り込み、未来のスーパースポーツとして話題を呼んでいる。
◆このコンセプトモデルは、ルマンに参戦するトヨタTS050 HYBRIDのメカニズムをそっくり搭載し、市販を狙ったモデルと言われるが、となると、その魅力的な存在は、ヨーロッパの自動車メーカーにとって、気になる存在になりそうだ。
◆欧州では、ディーゼルの風辺りが悪化し、ハイブリッド技術ではトヨタやホンダに後れをとっているとことから、電気自動車に主流をシフトし、だからフォーミュラEに肩入れしているという予測もある。欧州連合は、ハイブリッドをできる限り目立たない存在にしたがっているように映る。
◆WECマシンがそのまま降りてきたパフォーマンスが注目され、大いなる驚異になる可能性があるGRスーパースポーツコンセプトは、インパクトが強烈なだけに、目の上のたんこぶかもしれない。
◆昨年のルマンを視察した豊田章男社長は、リタイアを受けて、「トヨタは、速いマシンはつくったが、ル・マンを24時間走りきれるマシンは出来ていなかった」とコメントした。
◆これを起点に、トヨタはそこから1年、24時間を走りきるために必要なことは何かをゼロから徹底的に突き詰めてマシンを改善、「マシンもチームも、これまでで最もよい状態にあると確信しています」と、ガズーレーシング・カンパニーの友山茂樹プレジデントはコメントした。
「トヨタがこの6年間、WECに挑んできた目的は、レースに勝つだけでなく、世界最先端のハイブリッド技術とEVシステムの開発を推進し、究極の環境性能と、突出した走行性能を、高次元で両立させることでもあります」
「レーシングマシンTS050 HYBRIDの魅力を、可能な限りダイレクトに、そして扱いやすくした、スーパースポーツカーを世に出すことが、トヨタのWEC参戦を意義深いものにすると考え、このGRスーパースポーツのプロジェクトをスタートさせました」
「市販車両をレベルアップしてスポーツカーをつくるのではなく、現役のレーシングカーからスポーツカーをつくるという、トヨタにとっては、まったく新しい挑戦です」
「次の100年も、クルマを徹底的に面白くする。そのための挑戦はまだ始まったばかりですが、お客様の笑顔のために、自動車産業の未来のために、TOYOTA GAZOO Racingは、心ときめくクルマづくりに拘り続けて行きたいと思います」
◆志や良し。“トヨタにとってまったく新しい挑戦”であるGRスーパースポーツコンセプト。市販を高原するこの発表は、ルマンという会場でどう受け止められるのだろうか。アウディとポルシェが去り、ルマン優勝のインパクトを鎮めようとしているかのような欧州連合の動きの中で、挑発的なGRスーパースポーツコンセプトが与える影響が気になる。
photo by GAZOO RACING