F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

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関口雄飛に惚れ直した!!

◆2018年7月1日は、世界のあちこちでホンモノのモーターレーシングを観られた記念すべき日になった。

◆F1オーストリアGPで、ピットスタートから粘り強いレースに堪えたフェルナンド・アロンソが、ポテンシャル不足のマクラーレンでレースをコントロール仕切って、8位でゴールした。流石の精神力と折れない心は感動的でさえあった。

◆その数時間前の、タイのチャン・インターナショナル・サーキットでは別の“ホンモノ”を観ることができた。国内ビッグレースで、未勝利の小林可夢偉が、コバライネンからDENSO KOBELCO SARD LC500のステアリングを引き継ぎ、ゴール目指しているところに、関口雄飛のauTOM’S LC500が追いついた。ここから始まるフェアでお互いをリスペクトして相手にラインを残しつつ、でも隙を与えない極めて高度なバトルにしびれた。観たいのは、こういうバトルだ。

◆最近のスーパーGTは、マシンの進化も素晴らしく、多くの観客を集める国内最高のイベントになっている。これは誰もが認めるところだが、“醜態”と言っていい場面が連発している。バトルの場面に接触が日常茶飯事。むしろそれがあたかも迫力あるレースであるかのような風潮に辟易しているところだった。今回のタイ戦もその例にもれなかった。

◆そもそもDTMやWTCCが下火になっているのは、ぶつかることを是とした流れがあることが大きな理由のひとつだと気付いた方がいい。派手だが本質ではない状況は必ず飽きる。

◆タイヤが剥き出しのフォーミュラカーと違って、ハコのレースでは接触してもたいした危険にならないと思ってか、あちこちでドカン、ボカンがテレビの画面を通じて届くのを観るにつけ、哀しい思いになっていたが、可夢偉と雄飛のバトルは、ギリギリのところでお互いがお互いを読み切って、“お先にどうぞ”でもなければ“どけどけ~”でもない、素晴しいコントロール能力のせめぎ合いだった。

◆特にスーパーGTの場合、GT500とGT300というスピードに差のあるクラスが混走し、それがバトルを上手いこと遮って、さらにドライバーの知力とコントロールの力量が表面化するのだが、可夢偉と雄飛の闘いは、それらを見越して観るものを引き込む素晴しいものだった。

◆結果的に、auTOM’S LC500は、最終ラップにガス欠でストップし、マシンを停めた関口雄飛が、コースサイドに座り込んで頭を抱えるシーンが映し出されることになった。関口雄飛は泣いても泣いても泣ききれない状況だったのだが、リタイアは残念だったが、二人のバトルと共に、ギリギリまで追い込んだ設定の燃料で戦っていることが奇しくも浮き彫りにされることにもなった。

◆改めて、モーターレーシングが面白いのは、ぶつかって迫力があるからではなく、ギリギリの状況を見極めた同士が、スキルと経験と勇気を出し切ってコントロールして戦うところにあることをもう一度思い出してほしいと思う。

◆サッカーでボールに触ってはいけないことは誰でも知っている。自動車レースでは、他車に触れるのは恥ずかしいことだ、と参加者も、見物する我々も、しっかり認識して、良いレースを観たい。

◆改めて、素晴しいバトルを見せてくれた小林可夢偉と関口雄飛に、そしてそのレースを演出してくれたチームや関係者にお礼を言いたい。ありがとうございました。これからも、“ホンモノの良いレース”に期待します。

 

photo by GTA

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