マクラーレンがサインツを選んだのはなぜ?
◆フェルナンド・アロンソが2019年のF1に参戦しないと発表したマクラーレンは、その2日後に、アロンソの後継として、同じスペインのカルロス・サインツとの複数年契約を発表した。
◆サインツは、契約が決まったことを喜び、F1公式サイトformulaone.comで、「憧れのチームだった伝統豊かなチームのマクラーレンとの契約が決まって嬉しい」とコメント。ヒーローとして崇めていたフェルナンド・アロンソの後任としてステアリングを握る栄誉も「特別なこと」と語った。
◆ところで、マクラーレンのザック・ブラウン代表は、「カルロスがマクラーレンにとって素晴らしい選手だと思っている」と持ち上げているが、“素晴しい”とは何がなのか。決定の裏に、世界ラリー選手権(WRC)チャンピオンである父親のカルロス・サインツの知名度が後押ししたという声もある。
◆スペインの英雄であるWRCチャンピオンによるコネクションを当てにして、スペインのスポンサー獲得を狙っているのではないか、という観方だ。だから“マクラーレンにとって素晴しい”ということ?
◆そもそも、フェルナンド・アロンソがマクラーレンで走らなくなった理由は、契約金の問題も大きいのではないかとも。ワールドチャンピオンのバリューに見合う契約金をマクラーレンが払えない、ということだ。
◆アロンソが深く関係するファッション・ブランドの『KIMOA』のロゴをボディにペイントしたのも、契約金の一部として計算されたものだったと言われている。
◆アロンソが、「将来的にチームに戻るかもしれない」と取れるコメントを発し、ザック・ブラウン代表も、復活の可能性があるような表現をしているのは、強くなって成績を上げ、スポンサーを確保してワールドチャンピオンに見合うギャランティができるようになったら、という含みがあると言える。
◆ただし、例えば、サインツの父親の関係でいくと、オイル・メーカーのレプソルがあるが、すでにマクラーレンはペトロブラスとの契約があり、候補から外さなければならない。
◆そもそも、マクラーレンの現状からして仮にどこか大きなスポンサーが着いたとしても、元の強いチームが復活する可能性は極めて低く、つまり、アロンソがマクラーレンでF1に戻ることはない、という結論になりそうだ。
◆マクラーレンは、巨大な開発基地であるテクノロジーセンターを持つ最新鋭のF1技術集団だったはずだが、それは、ポジションを追われたロン・デニスの遺産。建屋は立派でも、そのポテンシャルが十分に使いこなせる環境にない、という観方が日増しに強くなっている。
Photo by McLaren