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	F1で巡りあった世界の空。山口正己ブログ

ロシアでも鈴鹿でも、あちら立てればこちらが立たず

今年のイタリアGPのゴール後。1位と3位だったが互いの健闘を讃えあえた。今回もこういう暖かいシーンが観たかった。

◆プーチン大統領がプレゼンター務めたロシアGPの表彰台は、重苦しいムードの中で進んだ。誰の目にも、バルテリ・ボッタスが主導権を取りながら、チームの指示でルイス・ハミルトンに優勝を譲ったように映ったからだ。

◆タイトル争いをにらんだチームからの指示でハミルトンに首位の座を譲ったことで、スッキリしない幕切れ。前戦のシンガポールに続いて観客が表彰台の下に雪崩込んだが、シンガポールが、終盤のダルな展開を押し寄せた観客が払拭するエモーショナルなエンディングだったのに対して、今回は“チームオーダー”というムードが創った重苦しさは解消されなかった。

◆ドライバータイトルを確実にするために、念入りな作戦はチームとして当然だ。弱肉強食の世界ならさらに必須の思考回路だが、だったとしても、こうあからさまにされると空気の重さは避けられなくなる。

◆ボッタスが浮かない表情をしたのは、契約上からはお門違いかもしれないけれど、コクピットを降りたハミルトンも、ボッタスに近づいて申し訳なさそうに肩を叩いた。ボッタスも、“しょうがないよね”という感じでそれに応えたが、両者に笑顔はなし。

◆ハミルトンとボッタスは、2017年にコンビを組んで以来、1-2フィニッシュを6回記録している。そのうち、ボッタスが1位だったのは1回だけ。今回が2回目になってよかったが、そうはならなかった。今回の優勝でハミルトンはフェッテルに50点の差をつけたが、仮に今回、ボッタスが優勝してハミルトンが2位だとフェッテルとの差は43点。残り5戦を考えると、まだまだ差をつけておきたいところ。可能性は低くても、チームとしては確実に護るためには温情は禁物なのはわかるが、二人の関係がお互いの意識とは無関係のところから崩れるのは見るに忍びない。

◆予選でも今回のボッタスは完璧だった。レースもウィナーに相応して仕事をしていた。“バルテリ・ボッタスという個人”は、“メルセデスというブランド”に比べれば小さなものだが、人が集まって家族になり、会社になり、社会になって世界ができている。

◆こうした二人のドライバーを含む全体な関係を緩和させるためにチームに帯同していたニキ・ラウダ会長が、夏に行なった肺の手術の静養のために欠席していることも気になるところだが、鈴鹿ではスッキリした展開になることを祈りたい。

◆ところで今週末の鈴鹿は、雨の可能性が50~60%と天気予報は言っている。雨が降れば間違いなくレースは面白くなるはずだが、観客席のことを考えると、雨乞いばかりしていられない。う~ん、世の中、あっちもこっちも一筋縄にはいかないぞ。

photo by MERCEDES

 

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