マーチ卿のワッペン–ホンダとトヨタの共同企画に膨らむ期待
◆秋の夜長に夢想が膨らむ情報が届いた。
◆毎年6月末から7月上旬に行なわれる『グッドウッド・フェスティバルofスピード』の魅力は、メーカーが垣根を越えて集結するところ。主催者であるマーチ卿の姿を初めて拝んだのは2000年ころだったが、お召しになっているレーシングスーツを見て思わずうなった。胸には、世界中の自動車メーカーのワッペンが貼られていたからだ。
◆それに対して、日本の“モータースポーツ・フェスティバル”などのイベントは、メーカー別。ファンサービスを謳いながら、結局は我田引水と言っては言い過ぎかもしれないけれど、文化以前に御家の事情に左右されるのが今までだった。内向きか外向きか。ここが最大の違いだ。
◆そんなところに届いたのが、題して、「モースポフェス2019 SUZUKA~モータースポーツファン感謝デー~」開催について。
—-以下、リリース抜粋。
Hondaは、2019年3月2日(土)-3日(日)に鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で、トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市 代表取締役社長:豊田章男)と株式会社モビリティランド(本社:三重県鈴鹿市 代表取締役社長:山下晋 以下、モビリティランド)との3社共催イベント「モースポフェス2019 SUZUKA~モータースポーツファン感謝デー~」を開催します。
「メーカーの垣根を越えてさまざまなモータースポーツの魅力をお伝えするとともに、クルマを運転する楽しさやクルマへの憧れ・夢を育んでいただけるイベントとして、–中略–今回は、国際的な二輪・四輪レースを開催する鈴鹿サーキットを舞台に、TOYOTA GAZOO RacingとHondaの、世界選手権をはじめとする国内外のカテゴリーで活躍するマシンやドライバー、ライダーが出演。モータースポーツファンの方はもちろん、これまでレースやラリーを観戦したことのない学生やファミリーの皆さまにも、モータースポーツの迫力や魅力を体感いただけるコンテンツをご用意します」
◆なんだ、今までのモータースポーツ・ファン感謝デーと同じじゃないか、と思わないように。大事なのは、メーカーの垣根を超えたことだ。いやいや、日本モータースポーツ・フェスティバルがあるじゃないか、という声もあるが、なんでも集めればいいのではない。『モースポフェス』は、改善すべきことは多々あるけれど、新たな時代のスタートとして、大げさに喜んでおきたい。それが、そのまま、ホンダとトヨタへの“愛のプレッシャー”となって、文明の自慢から文化の伝達に広がることを期待して。
◆もちろん、イギリスと日本では周辺状況が違う。一概に『グッドウッド・フェスティバルofスピード』バンザイ、というわけにはいかないけれど、将来ここにニッサン、三菱、スバル、マツダが加わり、日本のモーターレーシング史に伝承された零戦や戦艦大和のテクノロジーが、平和利用に向かったことも伝えることができる。さらに広がって、会場上空に、レストアされた零戦が飛ぶ、なんていう夢想も膨らんでくる。
◆ジジイの遠吠え? 『グッドウッド・フェスティバルofスピード』には、スピットファイア・スーパーマリンを始め、第二次世界大戦で活躍した戦闘機や、ハリアー・ジャンプジェットが普通にばんばん飛んでくる。上辺だけでなく、本質的な歴史が伝わるのは、そうした多角的な思考回路が根底にあるからだ。
◆“そんなの無理に決まってる”というあなたには、『レーシング』という言葉をお届けしたい。スケールがでかく、何事にも挑戦し、面白がって勝ち抜く。なにもモーターレーシングに限らず、“レーシング・マインド”は無茶を含めてそういうものであって初めて幻想であっても夢を育む。
◆そんな夢想の世界に向けて、まずはリリースの書き出しが、“Hondaは”ではなく、例えば、“日本自動車工業界”は、とか、本質的に広義なポジションからの呼びかけになる日を待ちたい。もちろん、自動車が基幹産業の日本なので、“日本政府は”だったらモアベター。
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