マクラーレンが蘇る日は来るのか?
◆マクラーレンのザック・ブラウンは、Formulaone.comのインタビューに応えて、「回復の道を進んでいる」とコメントした。さて、“回復”とはなんだろう。
◆マクラーレンは2008年にチャンピオンになって以来、下り坂を転げ落ちた。最後の優勝は2012年最終戦ブラジルGP。それ以来、優勝に見放されている。2013年は、ジェンソン・バトンとセルジオ・ペレスのコンビとなったが表彰台に一度も上がれず、2014年の開幕戦で、ペレスに代わってチーム入りしたケビン・マグヌッセンの3位を最後に、表彰台に見放されたまま。名門だった巨大チームは、フェルナンド・アロンソの腕を持ってしても、入賞も危ういセカンドランナーに落ち込んで2018年を終えた。
◆マクラーレンは2019年に向けて、まったく新しい陣容でスタートを切る。まず、ドライバーが、フェルナンド・アロンソ+ストフェル・ヴァンドーンから、カルロス・サインツ+ランド・ノリスに交代する。若返りは間違いないが、アロンソを欠いたパワーを若さで埋めるのは無理とういものだ。
◆デザイナーに、トロロッソから引き抜いたジェイムス・キーを着任させるとブラウンは表明したが、ジェイムス・キーは、悪くはないにしても、ニューウェイのような天才ではない。巨大すぎるチームで、どんな力を発揮できるかは、ブラウンがどこまで統率力を与えるかにかかっているが、巨大なマクラーレン・テクノージーセンターの総ての権限を与えたとして、キーがそれを背負いきれるか疑問だ。
◆関係者の中には、“マクラーレンを蘇生させるために、最も必要なのは、ブラウンをだれかと交代させることだ”と言う者もいる。その意見に反論はできない。
◆ブラウンは、プロモーションの分野で実績を残し、ポジションと財を気付いた。いわゆる『切れ者』だが、自らことを成したのではなく、代理店としてビジネスの進め方が巧かっただけ、とい意見もある。殺人のない戦争といわれるテクノロジーの闘いを強いられるF1チームの運営には、代理店業務のポテンシャルとはまったく違ういわゆる経営手腕が問われる。ブラウンにはその才覚はないと言わざるを得ない。
◆2019年にマクラーレンとしてのインディ計画をみると、レーシングチームとしてではなく、一人のファンとして、憧れの世界を実現したレベルに見える。カテゴリーでいえば、アジアン・ルマンまでがアマチュアの限界であり、F1やインディカーに通用するチームとしての機能に届いていない、というイメージだ。
◆さてマクラーレン、2019年にどうなるのだろうか。