バカなスリップ牽制合戦をなくす簡単な方法
◆イタリアGPの予選で、心底馬鹿馬鹿しいことが起きた。
◆モンツァは、コーナーが11しかない単調なコースで、他車の起こす乱流にもぐり込んで抵抗を減らすスリップストリームで0.2~0.3秒稼げるらしい。反対に、スリップストリームを使われると、自分が不利になるので、できるだけ先頭で走りたくない。ということで、予選のQ3は、譲り合い、というか、なすり合いだな、これは、先頭に出ないようにスローペースが重なって、もはや止まるようなスピードで集団がアタック前の1周を走ることになった。
◆その結果、何が起きたかといえば、間に合わない、という前代未聞のことが起きた。1台を除いて、制限時間内にコントロールを通過できなかったことで9台がアタックできず。最初のアタックで記録したタイム通りにポールポジション以下の順位が決まったのだ。もう、恥ずかしくてF1を、最高峰とか、整理整頓世界選手権と言えなくなってしまった。
◆しかし、去年も同じような“なすり合い”の結果が、実は手に汗握る面白い展開になったし、今年のような醜態は、参加者も考えてなくなるだろうけれど、レーシングドライバーは、何がなんでも自分が一番じゃないと気が済まないので、このままでは、来年も“なすり合いの末の間に合わない事件”が繰り返される可能性を否定できない。そこでここはひとつ、抜本的な解決策を講じるべきと思う。解決は簡単にできる。1台ずつアタックさせればいいだけだ。
◆数年前にF1でも1台毎の予選が行われたが、インディカーのように最後の6台を時間差でスタートさせる方法でもいい。Q3だけは、10秒間隔くらいで出せば、テキパキと予選が進むはずだ。
◆そもそも、『我先』こそが人生のドライバーを10人も一緒にスタートさせることじたいが間違いだ。来年は、ストレートが長いモンツァとアゼルバイジャンだけは、予選方式が変わりますように。“最高峰”って、実は“最後方”じゃないの?と皮肉をいわれないように、お願いします。
◆ちなみに、どうでもいいけど、テレビでは、スリップストリームのことをやたらと“トー”と言う言葉でくくろうとしていたけれど、それを言うならトーイングだし、そもそもスリップストリームを“トー”と言うと、カッコつけて一段上の専門的に言っているような流れが見え見えで嫌らしい。“トー”、“トー”とバカの一つ覚えみたいなのは何とかしてほしいので、私はスリップストリームで行きます。