覆らない5秒ペナルティ
◆9日に決勝レースを行なったカナダGPは、奇妙な結末になった。
◆ハミルトン+メルセデスをリードしていたが、背後を執拗にハミルトン+メルセデスにつつかれるプレッシャーに耐えかねたか、70周レースの47周目のシケインをミス、草地にはみ出してハミルトン+メルセデスの前に立ちふさがる格好になった。
◆アクセルを抜かざるを得なかったハミルトン+メルセデスは、「よけるべきだ」とチーム無線で伝えた。本来なら、前に出られるはずのところを、フェッテルがラインを譲らなかったので果たせなかった、という意味だったが、状況からして、フェッテル+フェラーリは、戻るのが精一杯に見えた。
◆事実フェッテルは、「壁にぶつからないようにするのが精一杯だった」とコメントしている。
◆フェッテルは、「抜くならインサイド(左側)から抜けばよかった」とも行っているが、これは無理。あの状況でハミルトンが右にラインを帰られないのは、フェッテルがラインを帰られなかったのと同じく不可能だった。
◆ともあれ、FIAの審査委員会は、セバスチャン・フェッテルの危険行為として審議し、5秒間のペナルティを通達した。
◆フェッテル+フェラーリとハミルトン+メルセデスは拮抗した闘いを展開しており、5秒差をつけるのは事実上不可能。結局1.3秒差でゴールした。
◆セバスチャン・フェッテルは、チェッカーを受けてコクピットを降りると、いつものトップ3インタビューを受けずに審査委員室に飛び込んで抗議、さらに戻って車両保管されていた上位3台のクルマに近づき、1位と2位のボードを入れ換えた。
◆シケインをはみ出したのはフェッテルのミスに間違いはない。ゴール後に、インタビューを受けずに審査委員室に直行したのは規約違反。順位ボードを入れ換えたのも、規則に触る。そもそも、車両保管場所には、誰も入っては行けない。
◆しかし、審査委員会の判定は正しかったのかといえば、それは明確にNOだ。草地からコースに戻った状況から、ラインをよけることは不可能だったからだ。フェッテルのいう通り、壁にフェラーリぶつからないようにするので精一杯だったというのが正しいだろう。
◆しかし、裁定は裁定、基本的に覆ることはない。
◆カナダGPは、いつものようになにかが起きた。しかし、今回のなにかは、実に後味の悪さを残すものだった。
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