ブラジルVISA事件・その2 マイアミ編
(昨日からつづく)
◆ワンボックスのレンタカーをチェックインカウンターの前に置きっぱなしであることに気づいたのは、マイアミへのフライトの中で、ポケットの中の鍵を見つけたからだ。あれ、これなんだっけ? なんだっけじゃねぇだろ!! ここでも頭の中でドラが鳴った。“グゥワ~ン”。
◆さて困った。どうしたものか。借りたのがHERTZだったので、マイアミ空港でハーツのカウンターを探して、鍵を預ける、だな、これは。それしかないが、マイアミ到着は、早朝。レンタカーのオフィスが空いているかどうかわからなかったが、案の定、マイアミに着いた朝4時にはハーツは閉まっていたので、ひっそり空いていた他のレンタカー会社の窓口に、事情を話して預かってもらうべくお願いしよう。ここで、さらに状況が複雑になって説明が一段難しくなった。舞台設定は完璧、ってことだ、トホホ。
◆今でも英語は穴だらけだが、当時は、ホテルと空港のチェックインができるだけ。その後、通った英会話学校で、アナタの文法はテリブル、と言われ、“terible”が「酷い」、って意味だと知ったが、それはともかく。
◆ハーツではないカウンターのオジサンに、単語を並べてみた。
*リオデジャネイロから来た。
*レンタカーをチェックインカウンターの前に置きっぱなしにしてしまった。
*鍵をハーツに返却したいが、これからニューヨークにいかねばならない。
*フライト時間が迫っているので、鍵を預かってほしい。
◆対応してくれた親切なオジサンは、ウンウンと頷いて、「分かった、やっておく。で、クルマはどこだ?」。いやいやだから、今、リオデジャネイロからきたんです、クルマはチェックインカウンターの前で、これが鍵です。「分かった、で、クルマはどこにある?」。たぶん、10分くらい説明して、やっと伝わった。「レンタカー、置きっぱなしで飛行機に乗っちゃったのか!!」。だから最初からそういってるでしょぉ~。
◆人は、想定できないシチュエーション、要するに常識をはずれた状況を理解するのに時間がかかることを知った。違う空港で鍵を返す奴はそういない。それも、飛行機で何時間も飛んだ先の空港だ。威張ってる場合じゃないけどね。
◆ともあれ、鍵は無事にハーツに戻されることになったが、ワンボックスカーがちゃんとハーツに戻されたのかどうかわからない。でも、クレジットカードで借りたから、何かあれば連絡があるはずだが何もないので、一応なんとかなった、と思いたい。ということで、お許しを。
◆しかし、世の中よくしたもので、その努力(←オイオイ)が報われることになった。ニューヨークに到着して、JALのカウンターでチケットを見せたら、ビジネスクラスが満席だったのだ。さて、困った、と思いきや、「ファーストクラスが空いておりますが、それでもよろしいでしょうか」。うん、しょうがないから、そっちで我慢します。
◆人生なんでも、諦めちゃだめである。アメリカGPで6度目のワールドチャンピオンを決めたルイス・ハミルトンも、マーチン・ブランドルのインタビューに、こうコメントした。「何事も諦めちゃダメダって、子供の頃から父親に教えられています」、ルイス、その通りだ。
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