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『FORD v FERRARI』、こいつは本物!!

左キャロル・シェルビーやと右ケン・マイルズ役。試写会で配布された『FORD v FERRARI』のプログラムより。

◆昨日観た『FORD v FERRARI』のインパクトが強烈すぎて、興奮が止まらない。You-Tubeで、関係のある興味深い動画が芋づる式に出てきて、寝られりゃしない。『FORD v FERRARI』のインパクトはそれほど強かった。間違いなく名作だ。

◆物語は、1966年のルマンがストーリーの中心になって進んでいく。要するに、ルマンの主といえるFERRARI擁するスクーデリア・フェラーリに、T型フォードを世界的にヒットさせて巨大企業になったフォードが、フェラーリを叩きのめしてカリスマ性を手に入るために巨費を投じて開発したFORD GT40で闘いを挑んでいく。

◆物語としては大方想像がついていたが、この映画はただ者ではなかった。すべてにおいて隙がなかったからだ。往々にしてレースシーンにアクシデントを取り入れたがるのが自動車映画の定番で、『FORD v FERRARI』も、予告編がロケットのように宙を飛ぶの映像が紹介されていた。あんなに飛ばねぇって、とその時は、今までの映画同様のこけおどしを想像していたが、違った。

◆例えば、主人公の女房と一人息子が、アメリカの自宅で、パパのケン・マイルズが出場しているルマン24時間のテレビ放映を観るシーンには、実際に1966年ルマン24時間の映像がモノクロで映し出されるのだが、映画の中のシーンとのつながりがまったく違和感がなく実に自然につながっている。それは、ゃの映画が、すべてにおいて妥協なく創られているからに違いなかった。

◆例えば、登場するレーシングカーは、1969年に活躍した本物ぞろいであり、バトルやアクシデントのシーンも、CGでごまかすのではなく、徹底して実写で撮っている。もしかすると、CGを巧みに使っているのかもしれないが、少なくとも、それがスクリーンからは微塵も見えなかった。CGを使っているのなら、その自然さも、また別格だった、ということだ。

◆タイトルは、『FORD v FERRARI』で、確かに初めてルマンに挑戦するフォードの内幕も紹介されて物語は進んでいくが、内容的には主役を演ずるケン・マイルズの物語だった。『ケン・マイルズ物語』では、客を集められないだろう。だからと言って、FORD v FERRARIがストーリーからはずれているわけもない。この辺りも抜かりなかった。

◆登場人物も、ケン・マイルズやダン・ガーニーなどのドライバーも、実在のまま。それらしい名前で、例えば、2輪映画で、8度500ccのチャンピオンになったジャコモ・アグスティーニを、ジャコモ・バリともじって名乗るのではなく、ケン・マイルズはケン・マイルズ、ダン・ガーニーはダン・ガーニー。この潔さも、本物感を高めていた。

◆そして、映画でありながら、正確に場面を再現したきめ細かい撮影や編集で、ドキュメンタリーのような進み方をしていて、ニュース映画を観ているような錯覚にも陥った。

◆レースの描写が巧いとか、凄いクルマが次から次へと出てくるとか、もちろんそうしたマニアックな部分も悪くなかったが、そうした表面的なことを正確に表現しながら、そこに満足せずに、もっと深い部分で制作が進められていたことを何度も唸らせられた。安い制作費ではできないレベルをあちこちにかいま見せ、贅沢な気分を味わえたのもこの映画を好印象にしていたのだと思う。

◆12月26日の虎ノ門の会場での試写会が、封切り前の最後の試写会だったとのことだったが、1月10日には、もう一度、劇場で拝みたい。その時は、映画の内容ではなくて、来場者がどんな表情でこの映画を観るのか、特に女性がどんな反応を示すのか興味津々。こんなに封切が待ち遠しいことはない。

 

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