エコって、何?
◆電気自動車がエコだと言われて久しい。確かに、走行に化石燃料を使わない、というポイントから、エコのイメージになるかもしれない。しかし、例えばバッテリーを造る工程や、バッテリーの処理の問題を考えたとき、相対的にエコになるかどうかは別の問題の気もする。
◆エネルギー不滅の法則というのがある。正しくは、エネルギー保存則と言うらしいが、専門的なことより、イメージとして、エネルギーは勝手に生まれたり消えたりしない、ということだ。
◆これはもっと広義に考えると、ものは必ず元に戻る、ということになる。逆に言えば、人間の力や活動でそのエネルギーに変化を持たせることなどできない、ということだ。つまり、どんなにエコではないことをやっても、結果的にサイクルを経た時には、元に戻る。
◆しかし、だからなんでも勝手にやっていい、ということではない。人間は文化的な生き物なので、地球のことを考えたり、子孫のことを考えたり、要は周囲を慮ることで成長するのだ、という大儀の中で、幸せな生活を営むことができる、みたいなことだ。
◆CO2の排出量も同じことが言えるが、元ルノーのテクニカルディレクターだったパット・シモンズが、合成燃料で動く2ストロークエンジンのF1パワーユニットを使うと、フォーミュラEよりもCO2が減らしてレースができると提唱し、新たな動きを始めた。シモンズのアイデアは、2030年に化石燃料で動く動力が使えなくなる(と解釈できる)状況になる、という話があるが、現在のパワーユニットが進化すれば、別の考え方ができるようになりますよ、というひとつの提案だ。
◆ところで視点を変えて、化石燃料に注目して、消費した化石燃料が、まったく違う形で人類に返ってくる、という現象を見てみたい。それは、ある消費によって、人がうれしくなる状況が生み出される、ということだ。化石燃料が爆発して生まれたエネルギーで、迫力あるレースが展開すると、観ている人のハートに響き、こめかみ辺りが熱くなる。熱くなるとヤル気が出て、明日への活力がみなぎって仕事の効率があがる、みたいな?
◆楽しいことは、地球規模で役に立つ、というお話。
◆ちなみに、パット・シモンズによると、現在のF1のCO2年間排出量は、以下のようになるという。
*年間排出量:226,551トンCO2。
*45%が、機器の陸上、海上および航空輸送によるもの。
*27.7%が、スタッフの輸送。
*19.3%が、施設や工場、オフィスなど、チームF1が所有する施設。
*7.3%が、関連イベントの運営、放送、サポートレース、サーキットの運営エネルギー。
*0.7%が、レースやテストでのパワーユニットのエミッション。
◆ということは、レースに活力をもらっていれば、単なる消費とは違う何かが生まれる?!
◆ところで、人が呼吸して排出されるCO2は、一体どのくらいになるのだろう、と考えたが、人の呼吸で出てくるCO2は、元々あるものを循環の中で使っているので問題ない、というのが正しいらしいが、さて、人は、宇宙のレベルでエネルギーを左右するほどのCO2を創り出せるものなのだろうか。