F1レース数増加はいいことばかりか?!
◆FIAのジャン・トッド会長が、今年22戦に増えたF1GPの開催数に対して、反対を唱える意見があることについて、「増えることに感謝すべき」とコメントして物議をかもしている。
◆2019年の21戦から、2020年には22戦に開催数が増え、最大25戦まで伸びる可能性があるというが、確かに、開催数か増えていることは、F1GPに魅力を感じて、開催権料を払っても費用対効果がプラスになるという考えあってのことであり、そのことじたいには反対しないし、F1GP未開の地に、スペクタクルな闘いであるF1GPが広く浸透するのはいいことだ。しかし、開催数が増えると、別の問題も出てくる。
◆卑近な例でいくと、年間22回も開催地に赴いて現場で仕事をするチームスタッフなど、主催側の関係者の労働時間が多くなる。労働時間が増えれば、自然、家族と過ごす時間が減り、奥様や旦那さん、子供たちから不満の声があがるだろう。我々取材陣も、同じ“被害”を被る。
◆しかし、トッド会長は、“フェラーリにいた頃は情熱的に働けて幸せだった”とコメントした。確かに、F1好きなら、その志やよし、だが、別の側面もある、ということだ。
◆さらに大きな影響が懸念されるのは、数が多くなると、観る側が飽きてしまう、という見方だ。この問題は、重く受け止めて、FIAもリバティ・メディアも考えた方がいいかもしれない。
◆かつてのF1GPは、年間16戦が“ちょうどいい”といわれた。17戦に増えたときに、多すぎる、と言う声が上がったものだが、やがて18になり、19になり、20戦になった頃からは、どこまで増えるのか、という興味も出てきちゃったりしていたが、最近のF1が面白い展開になっているからいいが、このままいくと間違いなく“飽きる時”がくる。
◆16戦がちょうどいい、といっていた時代から、情報はもちろん、スタッフの移動も高効率化され、その分、数が増えてもいいと言えなくもない。しかし、飽きは怖い。年間22戦を越えた時、飽きのスピードが高くなるかどうかは知らないが、胸に手を当ててみてほしい。すでに、どこか1戦観なくても、“また来週あるからいいや”という感覚になり始めてはいないか?
[STINGER]山口正己
Photo by WILLIAMS F1 TEAM