オリンピック延期決定に込められたメッセージ
◆IOC(国際オリンピック委員会)は、24日、2020年東京オリンピックの1年延期を発表した。延期は残念だが、ステイトメントには、オリンピックの中止という実質的な情報の他に、大きな“意義”が込められている。
◆それは、世界中の人々への呼びかけだ。ステイトメントの一節に、以下のような言葉がある。
◆「前例のない予測不可能な流行の広がりにより、世界の他の地域の状況は悪化しています。昨日、世界保健機関(WHO)の局長であるテドロス・アドハノム・ゲブレイェサスは、COVID-19パンデミックは『加速している』と述べました。現在、世界各国で375,000件を超える症例が記録されており、その数は1時間ごとに増加しています」
◆このメッセージは、外出を極力避け、人との接触をしなければ、広がりをくい止められる、という呼びかけと受けとめられる。
◆東京オリンピック2020の開会式は、7月24日夜8時に始まる。延期を伝えた3月24日から、120日以上ある。日本に限れば、それまでに、騒ぎが納まる可能性もあるが、人々の動きによってCOVID-19の猛威にさらされる可能性もあり予測は不可能。そして、7月24日までに解決していればいいのではない。
◆例えば出場選手は練習を続けなければならない。受け入れる日本側も、開会式に向けて急ピッチで会場の準備を進めねばならず、どちらも、外出しないで家にいる、という、現在最も重要な行動管理の元ではできなくなる。
◆つまり、オリンピックを延期するので、“まずはしっかりパンデミクスを防ぎましょう”という呼びかけなのだ。
◆F1の中止や延期も同じ。苦渋の決断の中に、人類を護るためのメッセージが込められている。
◆オリンピックが延期になるくらい大変なことだが、そのメッセージを受けとめるのは簡単。個々が外出を控え、外出したら、アルコール消毒か手洗いとうがいを徹底することだけ。こんな簡単なことを伝えるために、オリンピックは延期された。
photo by IOC