水滴型という懐かしいフレーズ
◆0-300km/hがわずか12.8秒というマクラーレン史上最速の『スピードテール』。そのままアクセルを踏み続けると、250マイル/h=403km/hまで加速する。このパフォーマンスは、4.0リッターV8ツインターボ/ハイブリッドの1070馬力という凄まじい出力や、1,430kgという軽さも貢献しているが、高速域で効いているのは、ティアドロップ(水滴型)のボディェイプだ。
◆水滴型という言葉を聞くのは久しぶり。板を水滴型で覆うと、空気抵抗は1/20になるというデータもあるが、マクラーレンは、650ベースの『CANAM』に続いて、1960年代を思い出させるニューカーを登場させている。
◆1960年代といえば、アメリカとカナダを舞台に、排気量無制限の2座席スポーツカーのCANAMシリーズが爆発的人気を博し、チャパラルのジム・ホールが“発明”したウィングが登場し、ダウンフォースという言葉がデビューした時代だが、ダウンフォースの重要性に気づくまでのレーシングカーの空力は、ひたすら空気抵抗との戦いだった。その王道だったのが、最も抵抗の少ない水滴型だった。
※次回は、空力の基本についてお届けします。
[STINGER]山口正己
Photo by McLaren