『世紀のデッドヒート』
◆テレビにかじりついて観た憧れのCAN-AM。カンナムと読む。アメリカとカナダを舞台に転戦するビッグマシンのレースだ。
◆初めて新聞でモータースポーツの記事を見たと記憶しているのは、高校生の1966年、砂子義一(塾長のご尊父)選手の赤いR380だった。以来、50年以上、モーターレーシングにハマリっ放しだが、興味を持ち始めたちょうどそのタイミングで、東京12チャンネル(現在のテレビ東京)で、『世紀のデッドヒート』という番組をやっていたからたまらない。
◆いま思えば、数年前の映像を流していただけだったはずだけれど、何かえも言われぬ底力があって、ブリッジハンプトンとか、ラグナセカとか、エルクハートレークとか、セブリングとか、単なる地名かコース名なのに、なんだかかっこよく響く憧れの名前だった。
◆モノクロのザラザラの画面を、中学の修学旅行のときに買ってもらった35㎜のカメラで一生懸命写して、焼き増しは高いので、ベタ焼きにして、それを切り抜いてアルバムに貼っていたなぁ。
◆つい最近、多分、毎週観たその番組でも流れていたであろう1966年のラスベガスのレースが、カラーで甦ったのをSTINGER CLUBで知った。多分、修正をかけたのだろう。昔はこんなにちゃんと見えなかった気がする。
◆チャパラルのジム・ホールは言うに及ばず、サーティースの赤に白い矢印のローラT70や、クリス・エイモンが、ダン・ガーニーが、マーク・ダナヒューが、ジャッキー・スチュワートが、縁石がない貧相なサーキットを走っているのを観ていると、50年前にタイムスリップしたようだ。
◆まさか、あとになって、クリス・エモンやダン・ガーニーに会ったり、スチュワートと一緒に写真を撮るなんて、夢にも思わなかった。
◆そういえば、ずっとあとで知ったのだけれど、テレビのタイトルだった“デードヒート”は、日本語で「熱いバトル」と解釈されて名レースを指すけれど、英語本来の意味は、“死んだレース”、つまり、クソ面白くない凡戦のことらしい。まさに知らぬが仏とはこのことだけれど、楽しい思い出なので、いいのだ!!
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