ゆっくり思考する
◆友人がSNSで新居を紹介しているのを見て、愕然とした。感心もしたし、凄まじいコンプックスも感じた。
◆玄関も、キッチンも、素晴らしく整理が行き届いている。というか、ほとんどモノが見えない。あるのは、ハイブランドの敷物や、シンクだけだ。
◆キッチンには、皿の1~2枚、まな板や鍋が置いてあるのが普通だが、彼は、そういうものを“置かない”と決めているという。
◆総てが、“見せない思考”で見事に統一されている。
◆対する我が家は、いやいや、比較したら友人に失礼な別世界。なぜそうなったかが、人生70年でやっと分かった。思考速度が落ち着いていることが大切、ということだ。
◆小学生の頃から、国語や理科、算数はずっと5だったけれど、生活態度はおしなべてCランクだった。生まれて以来のせっかちだから、物事を即刻変化させないと気が済まない。
◆どれくらいせっかちかというと、口の中で咀嚼しているときに、既に次の“獲物”を箸が掴んでいる、というくらいだ。世界中で、こんなせっかちなモノの食い方をする奴はいないと思う。
◆まぁ、見方によってはそれが自分の長所でもあったりするとは思うけれど、こと“整理整頓の能力”になると、「2」かよくて「3」。部屋が奇麗な友人は、間違いなく「5」だ。それもハナマル付きで。
◆どうしてその差が出るかが、“思考スピードの違いだ”と気がついたのだ。思考がゆっくり回るから、玄関も台所も奇麗にできるのだということ。
◆欲張りではなく、ひとつひとつ片づける能力、と言っていいかもしれない。ひとつを片づけている間に、別のことが気になるオレに欠けているのはそこだ。
◆たとえば発想は、ず~っと『瞬発力の勝負』と思っていたけれど、もちろんそれが勝負になることもあるが、“片づけ”のハナシになった瞬間に、瞬発力はほとんど邪魔でしかない。
◆『ゆっくり進める』。これを当分のテーマにしてみようと思った。
◆すぐに忘れて、別のことを考える自分であることは分かっていても、今はそう決心した。さて、どうなるかな。
【STINGER】
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