F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

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	F1で巡りあった世界の空。山口正己ブログ

サッカーに続け!?

◆元々サッカーにはあまり興味がないが、ワールドカップはどのチャンネルでも流れ、多くのネットで話題になっていてたので、いやでもサッカー強国のドイツとスペインに日本が勝ったというのも小耳に挟んでいたが、如何せん素人なので、クロアチアとの試合をすっかり優勝争いだと思っていた。

◆「エッ!」と思わず声が出た。点けっぱなしのテレビで日本代表の選手たち全員へのインタビューが流れた中、「ベスト8に進出できませんでした」というフレーズを聴いたからだ。優勝争いじゃなくて、ベスト8??? その相手がクロアチアだったのか! 衝撃だったのは、どのテレビでも、熱狂するスタンドやファンの大歓声を聞こえていた。ベスト8に残っただけで、あんなに大騒ぎするのかい! サッカーが羨ましいと思った。

◆日本人に限らず、世界中の多くの人の身近にサッカーは存在する。もちろん、ボールを蹴るというゲーム内容も面白いに違いないけれど、自動車レースのようには金がかからない、てのが最大の羨ましさだ。レーシングカーがサッカーボールくらいの値段で買えればなぁ、と無理な注文も頭を過ったが、問題はそういうことじゃない気がした。前から薄々と気づいていたのは、日本の特殊性だ。

◆レーシングスクールという言葉は、日本でも今やお馴染みだ。フランスのエルフ・フォーミュラ・スクール(エルフラ・ラ・フィリエール)や、イギリスのジム・ラッセル・レーシングスクール、アメリカのスキップ・バーバー・レーシング・スクールなどが知られるが、東洋の島口という立地条件で、自動車レースの本場である欧米から遠く離れた日本は、そこに力点を置かざるを得ないから、結果として若干特殊な道を辿らざるを得ない。日本が特殊なのは、『東洋の島国から欧米に出かける』というその最初の段階で、他の国々とは大きく異なる“荷物”を背負っているからだ。

◆日本人は文化人類学的にも基本的に海外に出にくい気質を持つ民族という。結果として、よく考えられているレーシングスクール、たとえば、鈴鹿サーキットが主宰し、佐藤琢磨、笹原右京、角田裕毅などが学んだSRSF(鈴鹿レーシング・スクール-フォーミュラ)では、その文化人類学的な負い目を見越して、そこをクリアーする視点も加えた指導を行なっている。

◆運転の巧さは必須事項だけれど、自動車レースで最も大切なのは巧さではなく、『最後の決断は自分でする』ということだ。海外に出にくい気質の日本人であっても、それを乗り越えて決断し、飛び出した者だけが、【世界】という舞台に立てる。

◆クロアチアと闘った日本選手が、見事な技を見せた場面もあった。しかし、勝負を決めるのは、技ではない。技はワールドカップに参加するなら巧くて当たり前。一人一人の代表のインタビューを聴いていて、多くの選手が、そのこと、つまり技より大切なものがあることに気づき、4年後を目指したいと語るのを聴いて、サッカー素人も、次に期待したくなった。

◆サッカーが羨ましかったのはそこだ。4年間後が待ち遠しい、と選手やファンが口をそろえてコメントした。同じように、日本人F1ドライバーにワールド・チャンピオンを期待したくなる日は、来るのだろうか。

Photo by FIFA

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