セナを語る、珠玉のDVD
もう一度、アイルトン・セナ。
希代の天才、アイルトン・セナの生涯を追うDVD「アイルトン・セナ 追憶の英雄」の発売を記念して、代官山T-SITE 内GARDEN GALLERYで行なわれた試写会を観た。
公開されたのは、全10巻からなるそれぞれ1時間ほどの中の第一巻というべき『01-イモラ/永遠の眠りへ』。初公開の映像や、このDVDのために収録されたセナゆかりの関係者の証言で構成され、20年前の1994年5月1日が甦る重厚な内容だった。
作り物ではないドキュメントであることと、アイルトン・セナという存在から、これまでのどの映画よりストレートに響く内容であり、それが”重さ”を感じさせたのだが、制作に当たっ
たのが、ガゼッタ・デ・ラ・スポルトというヨーロッパ最大の発行部数を誇るスポーツ紙と、テレビ局のRAIという、いずれもイタリアでF1を報じるモーターレーシングの神髄を知り尽くした媒体であることから、真実に忠実に、かつ、モーターレーシングの機微をダイレクトに伝える切り口の鋭さを感じた。媚びを売るでもなく、脅すでもなく、淡々と静かに”5月1日の衝撃”を伝えていたのが印象的な作品だ。
多くのF1の要人のインタビューも収録されたこの作品で、改めて、アイルトン・セナというドライバーの生きざまと、祖国ブラジルに寄せる想いが浮き彫りにされ、F1レースファンにかぎらない多くの人に、セナ本人だけでなく、モーターレーシングの本質や神髄を伝える内容と思った。
逆に言うと、狩猟民族ではなく、宗教観やそもそものクルマの位置づけなどから、モーターレーシングの神髄を理解しにくい我々日本人にとって、重すぎる内容だった気もするが、それは、第一巻としてしっかりとメッセージを伝えたいという送り手の想いの成せる技かもしれない。
第一巻を観て、残りの9巻を観たくなった。
※「アイルトン・セナ 追憶の英雄」予告編
◆DVD「アイルトン・セナ 追憶の英雄」コンプリートBOX
10作品セット特製ケース入り/¥25,000.-(税抜き)
発売元:ユーロピクチャーズ
www.ayrton.euro-p.info