F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

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STINGER試乗会・その1『VWゴルフ7』オマケ / 3日前に加速しているF1

3/3から続く)

睨まないで.jpg
そんなに睨まないでおくれm(_ _)m。

◆レスポンスって、なに?
日本語で言うと、応答性である。反応でもいいかな。この”かな”というのは、自動車業界マスコミ部門の曖昧な用語の使い方に対する若干の皮肉だけど、まぁそれはまたの機会に(←だったらわざわざ書くな!!)。

さて、レスポンスである。ペダルやハンドルが大体において運転を司っている。というか、ペダルとハンドルだけがクルマを操作できる装置である。これを人が操作して、4本のタイヤを介して地面をつかんで走るクルマをコントロールする。

自動車の運転の責任のすべてを運転者がもっているわけだから(どんな安全装置が着いていても、レールの上を走っていない自動車は、最後は運転者の責任になる、という意味で)、ハンドルとペダルの操作感は大切。その中でもレスポンスはとっても大事にされるべきものだと思う。なのでゴルフ7のペダルやステアリングの感触について、書いたのだった。

ところで、レスポンスといえば、F1のレスポンスを何故かよく知っている。レスポンスが凄すぎて(その上こっちの反応が鈍く、その差を自覚しないままアクセル踏んで)、徳大寺さん(エンストした)、山口(オレです。エンストしなかった)に続いて順番待ちをしていた方々に迷惑をかけてしまったF1試乗を経験しているからだ。

◆凄すぎたF1のレスポンス
F1のレスポンスは、アクセルもステアリングも、鋭いなんてもんじゃないなのである。残念ながら、ブレーキは、ペダルを踏む前にどういうわけかF1体験が突然中断されたために確認できていないが、たぶん同じと思う。

アクセル操作は通常、「ペダルを踏む」→「ペダルが動く」→「ペダルのストロークがリンクや信号を関知するアクチュエータによってスロットルバルブに伝わって開けられ」→「より多くの燃料がピストン内部に送れ込まれ」→「混合気の爆発力が強まって」→「ピストンが押し下げられ」→「コンロッドがクランクシャフトを回転させ」→「ギヤとデフを通じてドライブシャフトからホイールを伝わってタイヤが回り」→「タイヤが地面を蹴っ飛ばし」→「ボディが加速し」→「ボディの前方移動がシートに伝わり」→「アンタの背中を押す」という手順をたどる。

まぁ、書いているほどノロノロしているわけではないが、アクセルを踏んでから背中に加速感が伝わるまでに、多かれ少なかれ時間がかかる。この時間のことを”レスポス”と言う。少なくとも、オレはそういう意味で使っている。

この”レスポンス時間”は、普段の運転で何度かアクセルオンによる加速を体験しているうちに、ある感覚として体内に染み込むのだが、普通のクルマの感覚でF1のアクセルを踏むと、どうなるか。誰でも、”レスポンスがよくなる”ことは想像できるだろう。しかし、F1のアクセルレスポンスは、よくなるなんてもんじゃないのである。

◆3日前に加速している
F1は、アクセルを踏んだ瞬間に加速する。待っている時間は限りなくゼロである。そういうF1に、通常のレスポンス時間に感覚が慣れているカラダで乗ると、アクセルを踏む3日前に加速しているくらいに感じるのだ。お分かり?

ロー、2nd、3rdと加速した。2ndまでは、モナコGP仕様のレシオでは、たいしてスピードがでていない。3rdに入れた。たぶん150km/hと思う。クラッチをつないでアクセルを開けた瞬間、3日前に加速しているマシンがどうなったかといえば、温まっていないリヤタイヤを空転させ、緩く左に転蛇されていた1987年にジョナサン・パーマーが乗っていたティレルDG016のテールを右に流した。

運転手(オレです)はビックリして(多分←ここから先は記憶が真っ白なため)、即座にカウンターステアを当てた。しかし、F1のレスポンスに比べれば、間髪入れずに切ったはずの逆ハンは、充分な間髪が入っていた。マシンがかなり左に向いてから右にカウンターステアが切られた状態である。

ここでもF1のレスポンスは、強烈に鋭いのである。右に切られたフロントタイヤの方向に、瞬間的に飛んで行き、行く手の土手に乗り上げた。地球が回転したのかと思ったが、回転したのはこっちだったm(_ _)m。

F1マシンの安全性のお陰でケガはかったが、すべては、レスポンスの鋭さを勘違いした運転手(オレです)の未熟さによるアクシデントだった。もし、F1のレスポンスを事前に知っていれば(もしくはもう少し常識があれば)、このアクシデントは起きていない。

ちなみに、スポーツカーのギアシフトは、”手首でスコスコッと入る”というような表現を見かけるが、F1は”握ったら入っている”というくらいスッコスコである。

通常の感覚なので、街中を走るクルマのペダルやステアリングのレスポンスがF1レベルだったら疲れちゃって話にならない。こちらを許す”遊び”はほしい。けれど、アクセル踏んでから3日間後に反応されるのも困るのである。こちらの動きにほどよくリニアに反応する操作感。こいつがほしい。

◆いつかSTINGER CLUBで
ということで、ゴルフのアクセルペダルとステアリングのレスポンスというか感覚を味わって、このクラスのクルマ全部に乗ってみたくなった。そして、自分だけじゃなくて、みんなに乗ってほしくなった。

ゴルフ7、アルファロメオ・ジュリエッタ、メルセデスA180、アウディA1、それに国産代表を混ぜた比較試乗を、STINGER CLUB(フェイスブック)でできないかなぁ、と勝手な妄想にふける残暑厳しき8月である。
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