F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

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女房の誕生日なのにm(_ _)m。

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3月14日は、別の意味で忘れられなくなった。

◆今日は女房の誕生日である。全然関係ないけど、その日にホンダF1が初めて力を試された、その2015F1GP開幕戦が行なわれているメルボルンのアルバート・パーク・サーキットで、ちょっとした異変が起きた。

◆これまで、セナ-プロスト時代のホンダF1第二期のころから恒例として行なわれていたホンダF1レーシングの日本語会見が行なわれなかったのだ。歴史的な出来事である。

◆代わりにマクラーレンがチームとして、新井代表を加えて会見を行なった。

◆日本語会見がなくなったことじたいは、F1GPがグローバルな世界であり、それに呼応して英語だけにした、ということならありである。しかし、昨日の会見で、新井康久ホンダF1レーシング代表は、「これ、毎日やるの、大変だね」と仰ったのは、「やりたくない」という意味だったのだろうか。会見を始める前に、「全員ずっと来ていただきければ嬉しいです」。「こんなにモテモテでどうするんだろう」と言っていたのに。

◆予選17番手と18番手、つまり、マノー・マルーシアが出走していないから、最後尾からのスタートが決まった今日の結果を見て、強気の発言の新井代表がどうコメントするのか、戦々恐々(でもないか)で待ち受けていたのだが、肩すかしだった。

◆ともあれ、日本語会見がなくなった。その理由は定かではないが、状況が悪いから避けた、というのは考えすぎか。

◆マクラーレンは、レースディレクターのエリック・ブーリエ、二人のドライバーと共に新井康久代表を臨席させて質疑応答を行なった。新井代表の受け答えが、あまりに差し障りのないものだったので、日本人として、少し恥ずかしかった。

◆これを聞いた海外のジャーナリストたちは、いったい新井康久代表をどういう人だと思っただろうか。それはそのままホンダのイメージであり、もっと言えば日本のイメージである。日本を代表されて、のらりくらりな政治家のような発言をすることで、誰が得をするのだろうか。きわめて不思議。

◆前々から、どうしてこういう答えをしてくれないのか不思議に想いながらその日が来るのを待っていた。

◆「F1GPは非常にクォリティの高い世界である。新技術のチャレンジに、これほど適した戦いはない。日進月歩でテクノロジーが進化し、僅かでも油断すると置いて行かれてしまう。そこで人が育ち、テクノージーが育まれる。そういう場に挑戦できることに興奮している。F1グランプリがきわめて高い山であることを理解しているので、簡単には勝たせてくれないと思う。しかし、チャレンジこそがホンダのDNAであり、できる限り早い時点で頂点に到達できるように努力を惜しまない。時間がかるかもしれないけれど、我々は全力を尽くしてチャレンジする。簡単に勝つなどと言ってはF1グランプリに失礼と思うが、しばらく時間がほしい」

◆これを言わないから、どんどん追い込まれてしまったのではないか。ウソツキは泥棒の始まり、と泥棒と一緒にしては申し分けないけれど、そんな状況を感じていた。

◆誰かが、”社長に向けてしゃべっているんじゃないの?”と言ったが、会社勤めのサラリーマンなら、それもいたしかたないのかもしれないが、そこで思い出すのは、2003年、トヨタがF1に参戦した翌年のことである。

◆イモラ・サーキットで行なわれたサンマリノGPの決勝終了後にトヨタF1チームが出した日本語のリリースである。

◆オリビエ・パニスが10位グリッドからスタートした。10位になれたのは実力ではなく、燃料が軽かったからだ。当時は、決勝前に燃料の注ぎ足しが出来ず、逆に言えば自由な燃料搭載量で予選に出走できた。レース全体を考えれば、余計なピットインを避けるために、ある程度の燃料を積むのが常套手段。しかし、遅いクルマでそれをやると予選の順位が下がる。だからトヨタは少ない燃料で予選を走って10位を得ていた。

◆パニスは、1周遅れの9位でゴールした。8位までが入賞だから、無得点だが、私の記憶に間違いがなければ、決勝結果を報じるリリースには以下のようなことが書いてあった。

◆「パニスは予選で10番手を奪い、ダッシュをきめで何台かをパスしてレースをスタートしました」・・・・燃料が軽ければ、加速が有利だからダッシュも決まるはずだ。

◆「そして10周目に、他に先駆けてピットイン」・・・・思わず、ゲッと叫んでしまった。他に先駆けてというフレーズ、誰が考えたのか、表彰状を贈りたい。燃料がなくなったからピットインしたのだ。他のチームは、16周か17周辺りから給油のピットインを始めているのがその証拠だ。

◆そこで気づいたのである。リリースは、我々報道関係のために書かれているのかと思っていたが、それは日本の本社向けだということに。

◆今回の一連の新井代表発言を見て、同じことを思っていたが、とうとうレーシングな会社だったはずのホンダは、マジメで手堅いクルマを作り、冒険もしなければチャレンジもない安定型の会社になったのかと哀しくなった。トヨタとホンダは本質的に違う会社のはずだと思いたかったが、どうやら、思った以上にホンダのトヨタ化は深化していたようである。

◆なんだかとっても哀しい気分。女房の誕生日なのにm(_ _)m。


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