素敵な志
◆暖かくなって喜んでいたら、どうやら明日は雨模様(泣)。いや、圧倒的多数のテレビ観戦のファンの視点(私もプレスルームの中なので同じ視点)から見れば、雨の方がレースが面白くなる。可夢偉の成績も、雨乞いあっての物種的。しかし、数日前の日本同様の寒さを考えると、屋根ナシのスタンドから見る観客が気の毒。降ってほしいような、ほしくないような。
◆寒い冬に暖かいスープはありがたい。左近がイスパニアのテストドライバーになったことが発表されたのは、そういうイメージだった。F1ドライバーの素質のひとつに”プラス思考”がある。必要不可欠なポテンシャルだが、昨日、同業者がエレベーターの中でこんな会話をしていた。「イスパニアは、確かに新しいチームだし、ドライバーも新人。なので経験のあるドライバーを、ってことだけど、だったら、クリエンかフィジケラでしょ。要するに、欲しかったのは経験じゃなくて持参金じゃないの?」。
◆ご尤もな意見だ。しかし、本日の会見で、まさか左近はその話を聞いていたわけじゃないだろうが、思わずグッと来るコメントをしてくれた。
◆遠回しな質問。「チームから、スポンサーを持って来いとかいうことはいわれてない?」。要するに金で乗ったのではないか、ということか。左近は、まったく動じずにこう答えた。「そういうことは、今回はまったくなくて、”経験”という部分で(ぼくを)買っていただいた、と。もちろん、チームにとっては、おカネがあればあったで越したことはないので、日本のスポンサーが興味があればぜひ、という話はあるんですけど」。役者が一枚上だ。
◆そして、メッセージがある、と言った。グッと来たのはそこだが、それはそれとして、もし仮に、お金でシートを買ったとしよう。そこに何の問題があるのか。あるとすれば、妬みと嫉みと僻みだけだ。どんな形であれ、F1に乗れたことを祝って、左近が言うように、「日本に勇気を与えたい」という志に万歳を叫び、左近にプレッシャーをかけて頑張ってもらってその結果、日本が元気になった方が百倍ありがたい。
◆面白い、と言っては不謹慎かもしれないが、可夢偉も左近も同じように、”日本のモーターレーシング”を憂いている。そういう姿勢を応援するということしか我々ファンにはできないが、思い切った応援をすることが、二人を勇気づけるなら、こりゃもう、応援するしかないじゃないの、と思うのは、オレだけじゃない思う。
◆日本も棄てたもんじゃない。