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閃きの序章−転ぶアシモ

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Hondaが開発する『ASIMO』は、二足歩行ができる。しかし、人間なら早ければ1歳でヨチヨチ歩くから、たいしたことではないと思うかもしれないが、二足歩行というのは、片足を上げたところで体重移動して、反対側の足を前に出してそこに移動した体重を乗せていく作業だが、機械でそれをやるのはとてつもなく難しい。さらにアシモは走り、コーナリング歩行、つまり曲がって歩けるところに鋭いノウハウが詰まっているに違いないのだが、そういう難しいメカニズムは、勉強した人にお任せする。インスピレーター(平たく訳せば閃き屋)は、違う視点でアシモを見るのである。

2000年にアシモが発表された。当時の本田技研吉野浩行社長とアシモがステージ上を一緒に歩いてきてあいさつ。クルリと向きを変えて仲良く退場した。発表会後、吉野さんに、「吉野さんの方がよくできていました」と言うと、「何言ってんだよ」とつつかれた、という話はここでは関係ないが、翌日の新聞は、アシモを経済面で小さく報じた。凄いテクノロジーなのに。

その翌日、ソニーがロボットを発表した。アシモに比べれば、テクノロジー・レベルははるかに低かったが、次の日の新聞は一面扱い。アシモの方が凄いのにどうしてこの差になったのか。理由は明確だった。ソニーのロボットSDR-3Xは、パラパラを踊ったのだ。テクノロジーがパラパラに負けた、ということだ。

もし、アシモが吉野社長と並んで退場するときに、ドテッと転んで起き上がり、記者席に向かって頭をポリポリとかきながらテレ笑いをしたら、間違いなく一面に掲載されただろう。ここに気付くのが、ちっとも勉強しなかったインスピレーターの役目なのである。

アシモを作れる人が勉強していた間、私は遊んでばかりいた。だからアシモは作れない。だが、”転んだらどうなる”という発想ができる。勉強した彼らが気付かないそのアイデアを伝えれば、作った方々は一気に視野が広がって、もっと凄いものを作ってもらえる。遊んでばかりいた私(やアナタも?)役に立つことがある。ここに気付けば、世界は広がる、よね、きっと。(2/2につづく)

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