穏やかな人
◆白子のホテルで涙が止まらない。平ちゃんがいない日本GPは、たぶん初めてだと思う。いや、穏やかな人、とドイツの知り合いは見事に平ちゃんを言い当てた。だから、”いたいたっ!!”という存在ではなかったかもしれない。けれど、いなくなってみるとその存在の確かさが見えてくる。
◆たぶん、平ちゃんとの近さでいくと、業界の中でオレは30番目くらいだと思う。でも歳周りが一緒で、田舎(あちらは佐渡、こちらは相模湖)出身のレースファンで、60年代末の日本カンナム辺りからレースが好き、というシチュエーションの似かより方なら、表彰台的ポジションと思う。その相手がいない現実に気付いたときに思い出したのは、親孝行、したいときには親はなし、という言葉だった。
◆昔の人の言い伝えを、”だから早く親孝行しなさい”と取るのが普通だが、親孝行をしたい、と思えるのは、いなくなったからこそなのだ。いなくならなければ感じない。感じるならとっくに親孝行してるだろ、ってことだ。なくして初めて存在の重さを知る。平ちゃん、気付くのが遅れてゴメンナサイ。
◆何が切ないって、告別式が日本GPのスケジュール初日じゃないか。今年の日本GPは、決勝日は、2010年10月10日。面白い符合は、これだけで十分だったのに。
◆平ちゃんに、少しお世話になった長男に、通夜をお願いした。平ちゃんにはもちろんだが、大変だった人、これからも大変な人に、現場であいさつできずに申し訳ないけれど、こんな日にした平ちゃんが悪いんだ。さて、こんだけ泣いたらもういいだろ。明日から、平ちゃんが言ってくれたように、鈴鹿の日本GPを楽しませていただきます!!
◆明日、プレスルームにひっょこり出てきて、何やってんの?!と憎まれ口を聞くかもしれない。その時になんて返すか、考えながら寝るとしよう。