ピットは情報の拠点
ピット(PIT)は、サーキットで、マシンの調整やセッティングを行なうチームの拠点、コースサイドに並行して並び、レース中は、給油やタイヤ交換がここで行なわれる。
レースがスターとすると、「あとはドライバーの腕次第」と一般的に言われ、それが正しいように伝わっているが、実はレース中も、ピットとドライバーは、常にコミュニケーションを取り合っている。
ピットからの指示が、無線ラジオによる情報交換と、サインボードでの文字データでドライバーに届けられる一方、マシンに積まれたセンサーで集めたデータが発信機で送られ、ピットでは走行状態のマシンをリアルタイムで確認できる。
さらにそのデータは、それぞれのチーム本拠地のベース基地に衛星回線で飛ばされ、アーカイブに集積され、時には、レースのセッティングに対すデータ解析を、現場ではなくチームの本拠地(例えばオーストラリアGPのトヨタチームなら、メルボルンではなくドイツのケルン)で行なってサーキットに届けることもある。ピットの屋根や、マシンを運搬するトランスポーターが高いアンテナをそびえ立たせているのを見ると、通信とF1が切っても切れない関係にあることが分かる。