人の気持ち
◆銀座のACCクリニックで点滴。元気やや回復。点滴もありがたかったが、T本さんがわざわざ出迎えてくれて恐縮しつつ感激して、点滴をいただく前のその段階ですでに元気になった。人の”気持ち”は本当にありがたい。
◆だが、ちゃんとバランスが取れた。久々に傘を忘れた。お茶の水の駅で買った500円の傘なので後悔はしないが、それより、何年ぶりかの忘れ物という方が気になった。
◆高校時代、雨が降るたびに傘を忘れて、お袋に”アンタは傘をいくつなくせば気が済むの!”と叱られたが、気が済むように忘れてるわけじゃない。その後、自分の忘れ癖を自覚して、絶対に足が引っかかる所におとくか、縛っておくとか、手から離さないとか、いろいろ工夫して忘れなくなった。実は昨日も、忘れないように診察室に持って入ろうとしたら、”お邪魔でしょうから”と傘立てを薦められた。うら若き看護婦(いつから看護士などという無粋な言葉が歩き始めたんだ。全然ありがたみがない。看護婦さんは看護婦さんでなければならない。男女同権? バカ言ってんじゃないって。男にはできないこともあるの!!)さんからそう言われたら、「いいです」とも言えない。しかし、結果的に忘れてしまって、500円の傘よりも看護婦さんの親切な気持ちを無にしてしまったのが残念である。
◆家族で西八王子駅南口から200mのイタリアン。ちょっとメニューが変わり、従業員が増え、積極的な接客をするようになった。それはいいが、中の女性一人がサービスをすっかり勘違いして以前の魅力が半減していたのが残念。
◆焼き鳥がウマイ(特にハツは最高)という不思議なイタリアンだが、本日は、イベリコ豚の生ハム、そう、オレの大好物が”原木”(足1本丸ごとをそう呼ぶらしい)から切り分けてくれるなかなかの気の利きようなのだが、客一人ワンドリンクが義務らしい。三男は基本的に水が好きで、外食のときにはいつも水を頼むのだが、一端引っ込んだオネエサン、「ひとり最低ワンドリンクを注文いただくことになっています」となんだか高圧的。水しか飲まないんだけど、と半ば冗談で言うと、言うに事欠いて、それもピシャリと「例外はありませんので」だと。基本が全然分かってない。
◆客の心理は、「例外になりたがっている」のだ。もちろん、全員を例外になんてできない。しかし、「いらっしゃいませ」と笑顔で微笑んだり、できれば「いつもありがとうございます」と言われて悪い気がしないのは、自分が例外ではない気分になるからだ。できれば「ヤマグチさん、久しぶりです」とでも言われた日にゃ、それだけでワインが進もうってもんである。それを真っ向から否定して、自分の業務を遂行している気になっている高圧的な態度にムカついてせっかくの食事が台無しだ。
◆それを救ってくれたのが、女房が以前お手伝いをしていた保育園で一緒に保母さん(これも禁止用語らしい)をやっていた女性がウェイトレス(これもだめだな。配膳係にしておこうか←全然色気がない)にいたからだ。その娘が新米で一生懸命やっているのを見て少しだけ気が紛れて許す気になったが、多分、その店は我が家のリストではすっかり下の方のランクに沈んだ。人の気持ちを和らげるのも逆撫でするのも、これまた人の気持ち、である。