セーフ!
やっぱりスタートはスタンディングスタートに限る。GT500の第一レースは、凄い迫力だった。
◆今日の富士スピードウェイは、テンション上がった! この感覚は、1973年辺りの富士グラチャンや、1990年、M.シューマッハが来たインターF3の時に似ていた。場のテンションが高くなると、それはドライバーにも当然伝わって、だからいいレースが展開される、という図式。久々に、ファンな気分になってワクワクした。
◆レースはスタンディングスタートだ!という今更な気づきもあった。
◆今回フォーミュラ・ニッポンとスーパーGTがメインレースとして行なわれたが、注目は、スーパーGTのレース方式だ。
◆いつもなら、二人のドライバーが交代し、GT500とGT300が混走するが、今回は、GT300とGT500が別々。さらに、二人のドライバーがそれぞれ、今日と明日の別のレースを戦う。そして、なんといっても、スタート方式は、いつもの耐久レースらしいローリングスタート(隊列を組んでペースカーに引かれてGO)ではなく、スプリントのイメージをかきたてるスタンディングスタート(グリッドに停止してGO)のため、まったく味わいの違う迫力あるシーンから始まって、いつもと違う新鮮なシーンが連発した。
◆12日土曜日は、前日の雨模様を忘れさせる快晴。富士山がきれいだった。フォーミュラ・ニッポンの予選とGT300、GT500の第一レース、歴史を創った著名ドライバーによるレジェンドカップが行なわれたが、圧巻は、GT300。谷口信輝が魅せてくれた!
際どいレース。最終ラップの最終セクターで抜かれたボルシェを、ゴール直前で抜き返し、”セーフ!”の谷口信輝。肝を冷やしたチームのスタッフから、「セーフじゃねぇよ!」と笑い声交じりの怒号が飛んだ。
◆初音ミク・グッドスマイルBMWの谷口は、予選2番手から絶妙なスタートを決めてトップを奪うと、2位以下を突き放して独走状態。が、速すぎた! 22周レースの終盤、タイヤを使い切って、ANKOOK PORSCHEの藤井誠暢に迫られる。果たして、最終ラップの最終区間で藤井がトップを奪取! 万事窮すと思いきや、最終コーナーから立ち上がり、スリップストリームをギリギリまで使った谷口が藤井のリヤバンパーをギリギリにかすめて”セーフ!”の大逆転だ! 超分かりやすいレースが、マニアだけではないはずのスタンドを大いに沸かせた。
◆ところで、このレースを観て思ったのは”場のテンション”だ。富士スピードウェイという”場”のテンションが上がれば、当然、チームやドライバーにもそが伝わって、火事場の馬鹿力と言っては表現が陳腐で申し訳ないが、スペシャルなパワーが出る、というか”出したくなる”。その理由は、年に一度のグランプリという名前だったり、賞金だったり、いつもにはない東西対抗戦だったり、いろいろあるが、”いつもと違う”ムードが、今回の富士にはあった。
◆谷口も見事だったが、同じレースで13番手から3位に入った松浦孝亮も、スーパーパワーが宿ったようだったし、同じく、GT500で、13番手から3位に駆け上がった脇阪寿一にも、何かがとりついたようだった。
◆それが何かがわかれば、日本のレースの明日が明るくなるかもしれない。何が違ったのだろうか?