F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集 F1 STINGER 【スティンガー】  > F1に燃え、ゴルフに泣く日々。 >  >     気づきの時間。

	F1で巡りあった世界の空。山口正己ブログ

気づきの時間。

◆スーパーカー世代を代表する自動車フリークの西川淳ちゃんが、フェイスブックでディーゼルについてコメントしたら、いろいろ盛り上がって面白かった。最後は、”振動”の話になって、「フィットハイブリットは素晴らしく、アクアに関してはEVになるので振動ゼロ」と書いている人がいて、思い出した話。

◆そこに書こうかと思ったけれど、人んちに自慢話は若干阻まれたので、こっちで。

◆思い出したのは、木内エンジニアの話。セナの担当エンジニアとして活躍し、駄々をこねるセナを叱咤して泣かせちゃったので有名(?)な、その後そのパッションが買われて(と思う)第三期ホンダF1のプロジェクトリーダーだったホンダのエンジニアである。元々電子制御の専門家で、初代レジェンドの制御研究をやっていた。

◆ディーゼルの振動とは直接は関係ないかもしれないが、彼の研究は、エアコンのスイッチが入ると負荷がかかって自然に下がるエンジン回転を、下げないようにすることがテーマ。いずれ振動につながるかもね、ということで、反射的に思い出した。彼は、その研究に没頭し、たしか2年くらいかかって、たくさんのパテントも取得して、与えられた目標を完璧に達成した。

◆そのシステムを搭載したレジェンドが完成した日のことである。苦労した研究の成果が、公になる瞬間。木内エンジニアは、ちょっとドキドキしながらエンジンをかけた。ややあって、エアコンが作動。エンジン回転は、ピクリとも変化しなかった。完璧である。

◆さて、そこで木内エンジニアが達成感に満足そうに頷いた、と言うのでは話にならない。木内エンジニアは、負荷がかかってもなんの変化もしないことを人間がどう感じるか、という現実に気づかされて愕然としたのだった。「なんか、気持ち悪いんだよね、不自然さが。オレはこの2年間、何をやっていたのかと、落ち込んだ」。

◆たまたま大学の先輩だったオレは、その話をしてくれた彼に偉そうにこう言った。「そこに気づいたのは、木内くんが、マトモって証拠だね。2年間は、まともであることを理解するための時間だったと思えば、ありがたいってことじゃないの」。

◆木内くんの顔が、パッと明るくなったのは、とっても嬉しかったなぁ。
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