F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

	F1で巡りあった世界の空。山口正己ブログ

“訴える”姿勢。

◆琢磨がとうとう勝った。嬉しいが、だからこその悲しさにも気がついた。

◆GAORAに感謝状を贈りたい。琢磨の優勝をテレビで流してくれたから? それはもちろんだが、その内容、もっとストレートに言えば解説陣に、である。実にアットホームにして、自分たちの役目をしっかりわきまえている。フジテレビのF1中継とは大違い。悲しいのはここだ。

◆日本の月曜日の早朝、ロングビーチのインディカーシリーズ第2戦第3戦のゴールシーンを、GAORAがリアルタイムで放映していた。快挙を目前に、日本のスタジオは興奮で盛り上がっている。

◆ゴールの瞬間、スタジオの村田晴郎アナウンサーが、「この喜びを分かち合いましょう!!」と絶叫。解説の元インディカー・レーサーにして現役レーサーの松田秀士、武藤英紀の三人が、日本のスタジオで万歳三唱した。

◆GAORAの村田アナと解説者(松浦孝亮が加わって、インディカー解説チーム)は、つねに和気あいあいのムードで番組を進める。中でも、MCの村田アナは、F1の解説者やアナウンサーにありがちな、知ったかぶりは皆無。基本として、アナウンサーや解説者の役目は、”視聴者がもっと楽しくなるような情報提供”であることをしっかり認識できている。

◆いや、認識できているのがスポーツアナウンサーの常識なので、村田アナは褒められても困るかもしれない。しかし、F1と比べたら、雲泥の差、月とスッポンだ。琢磨の優勝を伝えたのが、フジテレビではなくて本当によかったとさえ思う。

◆最高だと思ったのは、上に挙げた「この喜びを分かち合いましょう!!」という一言である。ここに実況の神髄を見たと思ったのは、随分前の話だが、当時TBSが放送するインディ500の解説をしていた森脇基恭さんから伺った話を思い出したからだ。

◆森脇さんが陣取ったインディ500のコメンタリーブースの隣がイギリスBBCのブースだった。解説者としてそこに来ていた3度のワールドチャンピオンであるジャッキー・スチュワートに、森脇さんは尋ねた。”アナタのように素晴らしい解説をするコツが知りたい”。Sirジャッキーは、”まずは興奮することだ”と言って、こう続けた。”興奮するだけではなく、それを冷静に伝えることだ”。「目からウロコが落ちたよ」と、まさに興奮の表情で教えてくれた森脇さんの甲高い声がいまでも耳元で聴こえる。村田アナは、まさに、興奮して、そしてそれを冷静に「分かち合いましょう」という言葉で伝えたのだ。見習ってくれ、フジテレビm(_ _)m。

◆フジテレビのF1解説を観ていて常々思う。”君たちの役目は、知ったかぶりじゃなくて、視聴者をどれだけ楽しくするかだぜ!!”と。いや、アナウンサーや解説者が悪いんじゃない。解説者がたくさん持っている情報を分かりやすく伝えるのが仕事。それを全うさせることができないフジテレビに問題がある。持っている情報をうまく伝えられていない。もったいないったらありゃしない。

◆今年から、F1の放映が30分早くなった。早くなった分だけ、何が出るか期待した。BBCなら、元F1ドライバーのマーチン・ブランドルがグリッドを駆け足で巡り、そこにいるチーム監督や、エクレストンなどの名士に軽くインタビューする。もちろん、”今日のレースはどうなりそう?”というのが質問だ。要は、”テレビの前の人が知りたいこと”を、説得力のある人に訊いて回る。路面温度やタイヤの種類も重要。しかし、より多くの人が欲しがっているのは、そういうデータより、ドキドキ、ワクワクさせてくれる情報だ。

◆フジテレビの解説陣、というより、それを司っているチームは、ドキドキやワクワクをさせることが最重要課題であることが分かっていない。いや、分かっていてもできないなにかがあるのかもしれないが、結局30分前倒しされた放映時間の中身はほぼ皆無。その30分をオレにくれたら、間違いなく面白くする自信がある。冷静に事態を見守る解説では誰も嬉しくない、という常識を知っているだけのことだが、フジテレビには、その簡単なことに気づいてほしい。

◆琢磨が優勝のチェッカーを受け、村田アナが”月並みですが、ここで万歳三唱と行きましょうか”というのを聴いて、スタジオの三人と一緒に万歳三唱した。そのバンザイは、もちろん、日本人初のインディカーウィナーの佐藤琢磨の頑張りに対してでもあったけれど、三唱のうちの一唱は、村田アナと解説陣に対してだった。

◆琢磨の優勝で、日本が元気になって、アメリカを目指そうという若者が出たかもしれない。それも大事。だが、F1を伝えるフジテレビのF1放送も、これを機会に、是非とも『訴える番組』になってほしい。

もうすぐ青空が、見えそう?
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