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	F1で巡りあった世界の空。山口正己ブログ

桂田さん、さようなら。

◆スパル・レガシィの初代開発責任者だった桂田勝さんのお別れ前夜祭に参列した。キリスト教式で行なわれ、通夜と言わずに前夜祭というのだそうだ。

◆モノトーンの神父さんの若干長めのあいさつより、スパッと3分ほどで終わった親族代表のあいさつに立ったお兄さんの言葉が印象的だった。”ご多用のところ遠路はるばる”という言葉の後、弟勝さんとの思い出をひとつだけ語った。”一緒に酒を呑むと、勝はいつも、周囲のいい人に恵まれているんだ、と、何度も何度も言っていました”。この短いフレーズに、参列者への感謝と弟への気持ち、自分の思いのすべてが込められていた。お兄さんも、素晴らしいアイデンティティの持ち主であることが理解できて、改めて桂田さんのファンになった。

◆奥様がアメリカ人であることを初めて知った。病に倒れるまで、水泳で毎日1万メートル泳いでいたことも知らなかった。社長としてWRCを闘ったSTIを辞めた後に、大学院で勉強をしていたことも初耳だった。喉頭ガンで最後は声が出なかったのだそうだ。神父さんは、病室の枕元に積まれた本を見て、やりたいことがたくさんあったことをごぞんじだった。そんな桂田さんなので、無念だったろうけれど、いまは、苦しみも痛みも悲しみもない世界に旅立ったと仰った。人は、草と同じように朽ちるものだという聖書の教えも語った。しかし、愛はいつまでも永遠、とも。

もう一度、朴訥でシャイな、でも明確な筋金の入った桂田さんと話がしたかった。70歳は若すぎるけれど、中身の濃い人生だったのだろう。桂田さん、安らかにお休みください。
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