法曹界と放送界。どっちも一緒?!
12年前の静かな見渡す限り蒼い阿蘇。近隣の方々が、青空を見上げられる普通の日が、一日も早く戻ってきてほしい。
<法曹界のあり方>
◆最近、とある機会があって日本の司法の実態を知った。要するに裁判の仕組みというか、基本的あり方。それは機会を見つけてどこかで紹介したいと思っているので、詳しくはそちらに任せるとして、そこで感じたことが、熊本の震災や三菱の不正に触れるにつけ、日本という国の社会構造に、大きく狂った状況が見えてしまった気がしている。
◆商品を売る場合、なにか問題があればクレームが付く。たとえば自動車なら、リコールという制度がある。クルマに限らず、商品に問題があると何らかのペナルティが与えられることになっているが、裁判官や弁護士の場合、そういうシステムは、どうやらなさそうだ。
◆いやいや、弾劾裁判によって、裁判官をクビにする検討ができる罷免(ひめん)という仕組みがあるよ、ということらしいが、言いたいのはそんなに大袈裟なことではなくてもっと基本的なことだ。
◆裁判官関連の資料を調べてみたら、年間の担当件数は、多い裁判官だと400件、少なくても200件を抱えているらしい。こんなに沢山の数をこなしたら、状況を認識して裁くのは、簡単ではなさそうだなぁ、と余計な心配をすると同時に別のことが気になった。
◆裁判官の多くが、大学を卒業してそのまま裁判所に”就職”している模様だ。となると、もちろん、中には立派な判断をされる裁判官もいらっしゃると思うが、大方は学校で勉強したいわゆる机上の論理で物事を判断していることになるのだが、さて、裁判官が誤った判決を下してペナルティを受けたという話を聞いたことがない。
◆もしかすると、私が聞いたことがないだけかもしれないが、少なくとも私の知っている限り、テレビや新聞で”裁判官が減給”とか、”裁判官が1年間の出廷停止”とか、取り沙汰されるのを見たことがない。
◆要するに、学問だけで物事を推し量ろうとしている、というか、人を裁く状況って、ヘンじゃないの? ということだ。
<放送界のあり方>
◆転じて、ニュースに触れて心配になってきたのは、熊本の震災も三菱の詐称も、報じている側や、そのデータを流す人々がどれだけ経験を重ねた上で情報として必要充分なことを伝えているのだろうかということだ。特にクルマに関する情報の水準は、基幹産業が自動車であることをすっかり忘れさせる低レベルだ。
◆その昔から、認識不足のニュースは枚挙に暇がないが、冗談として使えるものもある。随分前の話になるが、朝日新聞が報じたフルフェイスヘルメットは危ない、という記事は、まるで間抜けだった。
◆ヘルメットには、ジェット型とフルフェイス型がある。頭部を護るが顔が出ている形がジェット型であり、顎までカバーするのがフルフェイス。現在のモーターレーシングでは、2輪も含めて特別な例を除いてフルフェイスが使われる。しかし、その記事は、フルフェイスの後頭部の帽体下側の切れ込みが、ジェット型よりも少ないことに着目して、「前方から衝撃を受けた場合、首の骨が折れる可能性が高い」という結論だった。
◆バカ言ってるんじゃない。首が折れるほどの衝撃を受けたら、ジェット型だったら首が折れる前に顔がペシャンコになっちゃいます。いかに付け焼き刃のデータで書いた原稿かが一目瞭然。
◆ここ数年で印象深かったのは、埼玉県で行なわれたマツダの自動ブレーキの事故を報じたテレビのニュースだ。自動ブレーキのテストをしていた人が、ブレーキが効かずに金網に突っ込んで足を骨折した、という。
◆しかし、金網に突っ込んで足が折れるほどの衝撃を受けるなら、それなりのスピードが出ていたはずだ。自動ブレーキは、有効なスピード制限がある。それを守れなかった運転者が悪いが、そこにはまったく触れられず、ニュースで伝わったのは、”自動ブレーキなのにぶつかった”というニュアンスだった。
◆さらに驚いたのは、その後にニュースで、”説明不足”として、試乗会を主催したデーラーの担当者が自動車運転過失傷害で書類送検されたことだ。確かに、30km/h以下でしか効きません、と徹底して伝えなかった罪はあるのだろうが、そもそも運転者が、レールのないところを走る自動車が、とても便利で頼もしく楽しい存在である一方で、きちんと管理しないとどんなに危ないかを知らずに免許を持っていたことについて、情報の原稿を書いたライターもそれを読み上げたキャスターもまったく考えていらっしゃらないご様子だった。
◆要するに、表層だけを浚って、あたかも真実のように進める。日本の多くが、そういう進み方になっていることが見え隠れして、戦々恐々の今日この頃。
◆ということで、本日の結論としては、法曹界も放送界も、どちらも”ほう、そうかい”m(_ _)m。
◆下らなくて失礼しちゃったけれど、それくらい世の中おかしくなっている。
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