恩師、フランコ・リニの思い出・その1 ミレミリアのイマジネーション
間瀬明さん(中央)の写真集『わたしは勝った夢を見た』(※)の完成時。左に座っているのがフランコ・リニさん。
フェイスブックのSTINGER CLUBにアップされたタルガフローリオの動画を観て思い出した。
今のWEC(世界耐久選手権)の前身であるスポーツカー耐久シリーズとして、シチリア島で行なわれた。ル・マン24時間などとともに、1960年代から1970年代にかけて、もっとも憧れた公道レース。
同列の憧れとして、イタリア全土を縦断するミレミリア(1000マイル)を思い出し、連鎖的に故フランコ・リニさんを思い出した。イマジネーションの話を教示してくれたイタリアの重鎮ジャーナリストだ。
「ミレミリアは1948年から観ているけれど、情報がラジオしかなかったんだ。ラジオの前で、一生懸命、聴いていると、頭がイマジネーションでパンクしそうになる。そうなったところに、赤いフェラーリが、バキュ〜ンと家の前をすっ飛んでいくんだ。興奮するなというのは無理な話さ」。
この話をしてくれたのは、イタリアGPのフリー走行の時。メディアセンターでタイミングモニターを見上げていた私を見たフランコが近づいてきて、私の肩をもみながら、”マサミ、情報がたくさんあって、すばらしいね”と言う。ちょっといやな感じがしたが、そこで、ミレミリアのイマジネーションの話をしてくれた。
データじゃなくて、イマジネーションを大切にしなさい、というのがフランコの教えでした。データを観るなら家でテレビを観ていても同じだ、と。
翌日、ダフ屋を見つけてチケットを買って、スタンドからレースを観た。せっかく現地にいるのに、”ホンモノ”を見落としっ放しだったところを、救ってくれた、フランコ・リニさん。そういう意味で恩人だ。
(その2につづく)
※『わたしは勝った夢を見た』
間瀬明さんにお願いして、F1ドライバーの”目”を集めた写真集。
アマゾンで買えると思います。