STINGER試乗会・その1『VWゴルフ7』2/3
(1/3からつづく)
ペダルの踏み始めが、”来ない”。
◆ゴルフ7は確かに素晴らしい質感である!!
ゴルフ7の凄さについて友人のM君が、”ワーゲン・グループは、これで儲ける必要がない”てなことを書いていた。なるほど、この質感をカローラやヴィッツやフィットを比べられちゃったら、そりゃ、困るわ。儲けはアウディが担当、ってことなら、ゴルフは、儲からなくていいってことから質感にコストを振れる。
もしこの理屈が正しければ、”安さで勝負”の、戦後の復興を支えた思考回路で築き上げられた国産車の時代は、ガラガラと音を立てて崩れ、再び”ガイシャ”とか”ハクライ”がありがたかった時代に逆戻りだ。
ということで、質感については、みなさん仰るとおりで文句なしです。が、御殿山のクルマ寄せで助手席を降り、運転席に移動して動きだした瞬間にアリャッと思った。右足の裏にエンジンが着いてこない!!
いや、エンジンは足の裏には着いてないが、要するに、オレが好きなそういう感覚がゴルフ7になかったのだ。
実を言うと、最近、新しいクルマに乗っていない。なので、すでに常識化しているフライbyワイヤの感覚に、単に慣れていないのかもしれない 。もしかすると、ミッションの調教の問題かもしれない。けれど、アクセルの踏み始めの反応の鈍さは、走りもインテリア(→)も、質感が高いだけに、もったいないのだった。
◆アクセルワークが超難しい!!
速度が出てしまえば、問題ない。すいすい走って非常にいいクルマだ。安っぽさがまるでない。箱根ターンパイクを攻めたわけでもなく、第一オレはここ25年ほど、人さまのクルマを拝借したときは、”攻める”という思考回路を完全に遮断するように決めている。危ないのでね、人格的に。
それはいいとして(だったら書くな!!)、ペダルをそ〜っと踏んでゆっくり発進するとき、例えば、初めて拝借したクルマを御殿山の車寄せから動かす瞬間のような状況を思い起こしてほしい。
踏みシロの最初の遊びの部分。アクセルペダルに載せた右足を、ちょっとだけ(たぶん2cmくらい)踏み込んだ時、まったくエンジンの反応がない。いや、実際には微かにエンジンは反応して回転は少し上がっているのだけれど、クルマが動くところまでいかず、動くためにもうちょっとアクセルペダルを踏み込んだら、突然回転が上がってクッ、と前進し、ナビに”急発進をしています。安全に注意して運転しましょう”と注意された。
アクセルペダルとエンジンの間がスロットルケーブルで物理的につながれていれば、右足にエンジンが着いているように感じられるはずだが、味付けできるフライbyワイヤのコロアイが、人間(一応オレも人間とみなして)の感覚とズレているのだ。
最近のクルマに乗り慣れた人たち(自動車評論家含む)は、フライbyワイヤだからとか、DSGだからしょうがない、と判断しているのかもしれない。しかし、ペダルを踏んだときの”来た”感じはなくちゃ困る。
恐々とアクセルを踏んでいくと、やがて動くという感じ。これがしっくりこない。例えば、バックで入れる駐車場の入口に軽い段差があるような状況では、困ったことになる。それなりにアクセルを踏まないと段差を越えられないけれど、エンジン回転上げすぎて、乗り越えた後に勢い余って壁にゴツンと行っちゃ困るので、気をつかう。
段差を越えそうな回転辺りまで、エンジン回転を上げるのが非常に難しい。もう少し、と思って踏み込むと、グワッと吹き上がって駆動が立ち上がり、オッ!! と慌ててブレーキを踏むと、これまたブレーキペダルも同様で、踏み始めの踏力コントロールがとっても難しいのである。
(3/3につづく)