F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

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STINGER試乗会・その1『VWゴルフ7』3/3

(2/3からつづく)

◆まさか、ブレーキもフライbyワイヤ?!

ブレーキ.jpg

もしかするとブレーキもフライbyワイヤかと思った。正確に言うと、飛行機じゃないのでドライブbyワイヤというのかが正しいようだが、いずれにしても、ワイヤではなく、電気信号でつなぐその方式がブレーキに使われることは通常は、ない。ワイヤでつなぐという旧態依然とした物理的方法が最も安全だからと思うが、ダイレクトにつながっているはずのブレーキも、足の裏にペダルが着いてこない。

アクセルと同じく、ある程度速度が出たところからのブレーキングは問題ない。ないどころか、相当ちゃんとしている。だが、ごく軽〜く踏んだ時の違和感は、返却するまでの3日間で200kmほど走ったけれど、残ったままだった。

ブレーキの踏力が10段階あるとして、限りなくゼロに近い踏力から、1の強さに踏力を増やしたときに、踏力と制動力が比例しない。制動力だけが勝手に3か4くらいに跳ね上がる感じだ。

ある程度速度が乗ってからのブレーキングは、まったく問題はないが、渋滞の中で頻繁に使う踏み始め付近は、どうもしっくり来ない。動いて止まり、停まってはまた動く。チョコチョコと、弱〜くブレーキを使う状況で、アクセルペダル同様のペダル感に、最後までなじめなかった。

最近は、ブレーキのマスターバックが大きくなって、要するに効きがよくなっているはずだが、むしろそれが災いしているのかもしれない。しかし、ゴルフ7の質感を提供できる技術レベルをもってすれば、チューニングでなんとでもなるはずだ。もしかして、脚力の弱い女性のことを考えて、小さな踏力て済むようにしようとしているのかもしれないが、ペダルに足を載せた”軽く効いている”状態から、もうし制動力がほしい時に少しだけ踏力を強めると、”グッ”と効いてしまって、その中間の踏力コントロールがしづらい(できない?)感触は、是非とも改善してほしい。

ブレーキとは、クルマを止めるものだが、クルマを止めるだけでなく、運転者の感性もきっちり受け止めてほしいと思う。ブレーキペダルの踏み始めの違和感が、ゴルフ7全体が持つ高い質感と同じレベルに磨き上げらたら、と思う。

◆突然の警告音!!
さて、足の次は手の出番である。手が担当するゴルフ7のハンドルの応答性は、とってもいい。切り始めからリニアに、人の感覚とおりのきちんしたと手応えがある。路面からの入力を感じるいわゆるステアリングインフォメーションのしっかり感は気持ちがいい。

しかし、高速道路で、中立付近に時折伝わる奇妙な感覚。80km/hの緩いコーナーで、ハンドルの舵を一定にしていると、時折、ククッ、ククッと、制御が加わる。誰かがハンドルの中に住んでいるのかと思ったが、人は住んでいない(←当たり前だ)。

気になって仕方ないので、直線部分でステアリングを握る力をギリギリまで緩めてみた。ククッ、ククッが三度ほど来た後に、いきなりビ〜ッという警告音!! ナンジャ、と思ったら、メーターパネルに、”Lane assist  ステアリングを操作してください!”のメッセージ。なんちゅ〜ありがたいシステムなのだ!!

assist.jpg
イメージ写真。

監視カメラが路側帯の白線とこちらの距離をチェックして、進路を制御する。機としては面白いし凄いと思う。ここまでテクノロジーが進んだのかと感心もした。だが、クルマのコントロールは運転者の責任であることを忘れさせるアリャマな装置ではないか。いやならスイッチをOFFにしとけばいいじゃないか、という意見もあるが、そういう問題ではない。

もちろん、安全を高めるための装備としてはアリ。でも、だとしても、ハンドルにククッ、ククッと不気味な感覚が伝わるいやな動きを感じないように進化をさせてほしい。

ちなみに、こうした”装置”を、宣伝に利用するのはずっと前から国産メーカーのお家芸だが、そういう思考回路はそろそろやめてほしい。なぜ? 「当社のクルマは、時々ハンドルが取れたりしませ〜ん」、なんて、どこも言わないのと同じく、そういう”装置”は売り文句にするのではなく、着いてて当たり前のものだからだ。

さて、総じて、ゴルフ7は90点以上のいい出来と思う。ペダルとハンドルの些細な違和感が解消された100点満点のゴルフ7.1に、是非乗ってみたい。
オマケにつづく)
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