STINGER試乗会・その2『ホンダCRZ(CVT)』1/3
CRZに乗ってみた。最近のライトウェイトスポーツカーがどういうものかも知りたかったからだ。改めて、スポーツカーを考えるきっかけになった。
◆スポーツカーとはなんぞや?
CRZは、多分、今売っている国産車の中で、数少ないかっこいいクルマと思う。形は好き嫌いがあると思うが、大抵の日本車は、デザインを途中でやめている(としか思えない–笑)が、CRZは、かなりのレベルまでこだわって作り込んだ感がある。このレベルでデザインが仕上がっている国産車は、他にはトヨタのハイエースしかないかも(笑)。
ともあれ、後部座席の狭さからすると、86が”スポーツカー”を謳っているなら、CRZもスポーツカーである。CRZの方が、よりスポーツカーに近いが、そもそも初代86はスポーツカーではなくて、スポーティカーだったという先入観があり、初代のオーナーとしては、スポーツカーと呼ぶには若干違和感があったけれど、試乗会のときに、とっても狭い後部座席を観て、”そういわれれば確かにスポーツカーだ”と思った。以後、86は無理やりスポーツカーとして認識することにした。
そのスポーツカーが、ハイブリッドというところがCRZのミソである。
ところでそもそも、スポーツカートはなにかといえば、スポーツするクルマである。しかし、そんなことを言ってしまっては身も蓋もないけれど、実はクルマの運転は、全〜部”スポーツ”なのだ。
◆モータースポーツとモーターレーシングの違い。
モータースポーツとモーターレーシングの違いは、”フツウに言っているのとカッコつけて言っている違いじゃないの”という意見は正しい。しかし、理屈としては両者に、明確な違いがある。
モータースポーツは、クルマでスポーツすること。モーターレーシングはクルマの競争である。もう少し分かりやすく言うと、自動車は、どんな種類であっても、小さくてもでかくても、パワフルであってもなくても、新しくても古くても、”運転”という行動がスポーツそのものである。きわめてゆっくり走る街中でも、動かした瞬間にスポーツをしているのだ。
ラケットでボールを打つテニスと同じように、目で確かめ、手と足を使って操作して自動車を動かすことそれ自体がスポーツである。テニスがスポーツであるように、運転もスポーツなのだ。
そして、ここが肝心なのだが、テニスはテニスコートに行かなければできないが、運転はどこでもできる。それをサーキットやダートラ場に持ち込んで競い合えば、それはモーターレーシングになるのだ。お分かり?
したがって、本来的に言うと、”スポーツカー”というくくりは若干の違和感がある。トラックや、バスの運転でもスポーツであり、実は、飾りのないそういう質実剛健なクルマの方が、名ばかりのスポーツカーよりはるかにモータースポーツだったりする。
そういう意味で言うと、スポーツカーとは、そのモータースポーツをもっとも楽しくしてれる存在、でなければならない。スポーツカーなんだから。
と、せっかくおつきあいしていただいた方を煙に巻いて、以下、次回。
(2/3につづく)