STINGER試乗会・その2『ホンダCRZ(CVT)』2/3
(1/3からつづく)
同じような写真になるので、靴を変えてみた(笑)。
◆リニアに感じたい。
スポーツカーが、”最も楽しい運転を提供してれる存在”ならば、操作系統がリニアであってほしい。リニア、う〜ん、人間の感覚にそのまま伝わる感じ、といえばいいだろうか。
たとえばブレーキである。ただし、ブレーキとスポーツカーの関係は、”スポーツカーのブレーキだから、効きがよなくてはいけない”、と言う話ではない。効きは、どんなクルマでもよくなければならないからだ。
テニスのラケットも、フレームの強度やガットの張り方で、打感に違いがあるはずだ。打って気持ちのいいラケットと同じ様に、運転して気持ちのいいクルマは存在する。これは、マニアではなくても、誰でも同じように感じる。言語化できるかどうかではなく、感じるのは人間の特技だ。
例えば、落下する物体は、重力加速度と空気抵抗で落下速度が決まる。しかし、そんな理屈を知らないトメばあちゃんが見ている落下物体の落下速度を、遠隔操作で調整したとする。物理学を全然知らないトメばあちゃんでも、”あれ、ヘンだよ”と気付くのだ。人間のセンシング能力は凄いやね。
運転のリニア感をもう少し細分化すると、ハンドルに伝わるフィーリングと、ペダルのレスポンスである。中でもブレーキの効き具合は重要なのだが、CRZも、ゴルフ7と同じく、ブレーキの違和感がぬぐえなかった。CRZはスポーツカーなのに。
◆効きすぎの、ありがた迷惑。
CRZは、ハイブリッドだから、回生ブレーキのシステムを搭載している。したがって、通常のブレーキの”スピードを落とす”という基本作業の他に、そのエネルギーを集めて電気に換える、という仕事が加わっているから、ブレーキはフツウのクルマよりややこしい制御をしていることは理解でき、たから踏力のフィーリングを出すのが難しいはず、と想像できる。
マスターバッグで増強され、ブレーキはよく調教されて不安なく効く。しかし、効きすぎるのだ。
いや、効いて悪いのではないのだが、軽い踏力の弱いブレーキの時に、効きすぎる。街中をゆっくり走っている。信号が赤になった。ブレーキを踏む。ペダルに足が触れたかどうかくらいにごくごく軽く踏んでいるのに、自分が思っているところで停まろうとしても、大抵、手前で停まってしまいそうになって、一端ブレーキを離さなければならない。それくらい効いてしまう。
だったらいいじゃないか、と思う。効きすぎて困ることはないはずだからだ。しかし、効きすぎるブレーキのCRZに乗っていると、ブレーキングが下手になると思った。スポーツカーなのに。
(3/3につづく)