F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

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STINGER試乗会・その2『ホンダCRZ(CVT)』 オマケのオマケ

オマケからつづく)

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レーシングバージョンになっても、CRZはかっこいい。スーパーGTのGT300クラスの無限CR-Z。

◆究極のブレーキング
F1に乗ったことがあるが、F1のブレーキ能力はわからない。ブレーキを踏む前にとある理由で試乗が終わってしまったからだ。

しかし、F1のブレーキが、3日前にレスポンスすると書いたアクセルのように、スーパーダイレクトな反応を示すことと、多分ストロークが超短くて、まるでコンクリートの床を踏んでいるようなフィーリングで、全然扱えないシロモノであるはずなことは、他のレーシングカーに乗った経験で想像できる。

しかし、F1のブレーキは、もっともっとはるかに複雑で、コントロールが難しいようである。

琢磨2002.jpg

2002年にF1にデビューした佐藤琢磨は、よくスピンした。スピンした理由のひとつは、若かりし日(→2002年F1デビューのオーストラリアGP。若い!!)カーボンブレーキの経験不足が考えられた。

理想的なブレーキは、トンと踏力を立ち上げて、踏力一定で停止する、というものだ。しかし、カーボンブレーキは、温まらないと効かない、という特性がある。最初冷えているカーボンディスクが、ペダルを踏んでパットに押さえつけられることで発熱し、温度上昇にしたがって効きがよくなる。

さらにややこしいのは、同時に、スピードが下がるとダウンフォースが減って、フロントタイヤのグリップが落ちる。ブレーキじたいが温まって効くようになる分と、ダウンフォースが減ってグリップ力が減る分を経験で感じ取り、微妙に踏力を弱めなければならないのだ。時速300kmから4Gを越える減速をしているときに、である!!

琢磨は、当初、それ(踏力を緩める)がうまくできずに、スピンを繰り返したのではないかと思う。琢磨がヘタなのではなく、経験を積まなければ効率よく使い切れないのがF1のブレーキ、ということだ。

F1のレベルでは、きわめて高度な”調整”が行なわれているが、ブレーキに対して、ドライバーがいろいろ文句を言うのは、踏み込んだ時ではなく、この”抜くとき”のコロアイのようである。踏力を抜く段階で、パッドが温まったカーボンディスクに突然かみついたりしないようにしたい。だからブレーキパッドにこだわるのだ。

街中では、踏力を抜く必要はない。カーボンではないからね。トンと踏んで、一定の踏力でリニアに止まりたい。そこで強さをコントロールする能力が必要だが、この能力は、街中の運転でも、かなりのレベルまで養われる。人は、素晴らしい能力を備えているのだ。だから、スポーツカーなら、そのことを踏まえた上でのブレーキフィールを備えてほしいと思う。

CRZが、リニアなブレーキフィールを持ってくれたら、運転そのものであるところの”モータースポーツ”がもっと楽しくなると思う。是非ともそうなってほしい。スポーツカーなんだから。

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