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STINGER試乗会・その3『マツダ・アクセラ』2/2

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◆最近の試乗会で気になるのは、”ブレーキ・フィーリング”である。踏んだだけ停まるブレーキにトンとお目にかかれない。最初に気づいたのは、夏に乗ったゴルフ7だった。走りを含めた質感は、さすがカーof theイヤーカー。しかし、ブレーキのフィーリングが気に入らなかった。

◆他のクルマのブレーキはどうなっているのかと思い立って拝借したアウディA1も、メルセデスA180も、ホンダCRZも、BMW2.5ツーリングも、スバルBRZも、レガシー・ツーリングワゴンも、軽い踏力部分で効きすぎて、どれも気に入ったブレーキにお目にというかお足に(笑)かかれなかった。

◆ホンダCRZは、回生もブレーキが担当するハイブリッドらしく(?)、軽すぎる踏力で必要以上に止まってしまう違和感があった。ある程度スピードが出ていれば悪くないのだが、低速のちょっと踏んだ時の違和感は、なぜみんなが問題にしないのか不思議なくらいだ。

◆慣れる、という意見もあるが、これは慣れの問題ではなく、そういうブレーキに慣れさせるような思考回路のクルマを送り出さないでほしいと思った。どのクルマも、低速に限って言えば、程度の差そあれ、”踏んだだけ止まる”のではなく、過剰に効くのだ。

◆最も違和感を感じたのはメルセデスのA180だった。ブレーキペダルにかすかに触れただけで、かなりの制動力が出てしまう。さらに、ドイツ車独特というか、その昔オヤジが乗っていた1964年製のフォルクスワーゲンの時代から、”ヒール&トーなんか素人はやりなさんな”と言わんばかりのブレーキとアクセルのペダルの段差、つまり、ブレーキペダルが手前にセットされていて、アクセルから右足をブレーキに移動させようとする時には、かなり手前に爪先を回し込んでやらないと、靴の側面がブレーキペダルにひっかかるような配置のペダルだったから、足首を手前に曲げていなければならず、ついには足が攣りそうになるほどだった。

◆これは前々から書いているように、”軽い踏力で効く”方が安心感があるからではないかと思う。どのクルマもそういう傾向にあって、特にハイブリッドの場合は、回生という機能を担当することから、というエクスキューズができるせいかどうか知らないけれど、さらにそのフィーリングが悪くなる傾向にあった。

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◆しかし、アクセラは、そのフィーリングが悪くなかったのである。さらに驚くのは、のフィーリングを出すのが一番難しいはずのハイブリッドが最もリニアにきっちりしていたのである!!

◆1500ccのATは、高速道路をのんびり走るのに、なんの不満もないクルマだった。1500ccという、いまや小型の部類に入るエンジンも、それなりのトルクがあって、峠を攻める時間も気力もないオッサンには充分だと思った。

◆2000ccは、もちろんもっとパワーがあるのだが、なんとなく、ドタッという印象で、1500ccのキレを感じられなかった。

◆そして最後にハイブリッドに乗った。横浜周辺の高速道路を、助手席にシャシー先行技術開発グループ主幹の渡辺玲宏さんを乗せて、30分少々をタラタラと走っただけで、他の性能を深く探れるところまでいけなかった(そもそも、たくさん乗っても探る能力ないしね)が、スタートして駐車場を出る時の最初の一時停止で、思わず、「オッ!!」と声が出た。ハイブリッドらしくない、というか、2000ccよりよかった1500ccのガソリンエンジン車より、さらにリニアなフィーリングだったのだ。というか、少なくとも最近乗ったクルマの中では、ダントツの安心感。踏んだだけ反応してくれるブレーキに出会えたのだ。なんか、うれしいゾ。

◆渡辺さんと、道中ずっとしゃべりっぱなしだったのは、スタートがそういううれしい状況だったからだ。ついでに、ひとつ、間違っていた認識を、渡辺さんのご教示で気がついた。ブレーキもブレーキ by ワイアが最近は主流になっていることを。それを聞いて、さらに驚きは加速した。

◆通常、ワイアでつながっていないブレーキなら、ペダルはスイッチであり、踏んでから作動するまでに、なんらかの時間やタイミングのズレを感じるはずだからだ。アクセラは、ブレーキbyワイアであることを伺った時に思わず、「ホントですか?!」と嬌声を上げてしまったほどにリニアなのだ。これは発見である。

◆渡辺さんの言葉は、もっと驚かせる事実をパシフィコ横浜のスタート&ゴール地点の駐車場に近づいた時に教えてくれた。「アクセラのブレーキシステムは、プリウスと同じものを使っているんです」。

◆初代プリウスに乗って、車寄せから10m先の一時停止でブレーキを踏んで、ブレーキが壊れているのではないかと思ったことを思い出して、その言葉がにわかには信じられなかった。10mだけでいいので、アクセラと同じブレーキシステムを使っている、というか元々そっち用であるこのブレーキシステムが装着されたプリウスに乗ってみたいと思った。近いうちに、拝借してみよう。

◆今日の結論。『大切なのはシステムではなく、味付け』。

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