STINGER試乗会・その3『マツダ・アクセラ』1/2
最初に面白いと思ったのは、デザインを、クルマではないものから始めたというところ。よくある手かもしれないけれど、”地球上に存在するもの”としてクルマを捉えている感覚が、改めて新鮮。
◆開発責任者は、スクリーンに透写されたパワーポイントの画面を見ながら話を進めた。
自然のなかで美しいもの。
ホイールベース/トレッドをしっかり作り、四隅にタイやを置いた。
デザインは、クルマではなく、オブジェからスタートしている。
4人がしっかり乗れるスポーティなクルマ。
固まり感があり、瞬発力を持つ。
身長に関係なく、乗り降りの時に頭が通る領域は実は決まっている。そこで、仮説を立てて検証してデザインした。
◆12月4日から6日にパシフィコ横浜で行なわれたマツダ・アクセラの試乗会の最終日、試乗を前に、開発責任者は、こんなレクチャーをしてくれた。よくある試乗会のプレゼンは、たいていの場合、お仕着せのコメントが羅列されるが、ここは違った。
◆お仕着せコメントの最たる例が”どなたにでも気に入っていただけるサスペンション”である。いや、だった、というべきか。まさか、今でもこんな、あり得ないまやかしのプレゼンをするエンジニアはいないか。
◆でも、少なくとも10年前はそうであり、いまでも、例えばデザインを”美しいデザインに仕上げました”と言うコメントをよく耳にする。美しいかどうかは、それを見るこっちが決めることで、創った側が言うことじゃない、と常々思っていたが、アクセラのプレゼンは、そういう違和感がなく、なにか確固たる信念のようなものが感じられて気持ちがよかった。
◆これは、マツダのデザインが最近魅力的になったとか、トップではない位置からよじ登ろうとしているエネルギーを感じるとか、ロータリーにいい意味で固執する執念を持っている会社であるとか、GT-RとRX3のスーパーツーリングの歴史を創って若き青年(←オレです)を感動させてくれた会社だからということではなくて、素直にそう感じた。
◆ある意味の”真面目さ”がマツダのイメージにはあって、それが凝縮したのがアクセラである、というのはちょっと褒めすぎの気もするが、そういう期待を持って、14台用意された試乗車のうち4種類に乗った。
◆4種類とは、1500ccと2000ccのATと、ハイブリッド、そして、1500ccのマニュアルである。ただし、1500ccマニュアルは、いまどきそんなバリエーションがあるとはツユ知らず、ハイブリッド試乗時間までのつなぎの時間に、ラリーストとして一世を風靡したあの竹平素信さんの助手席での体験だった。一億総オートマ偉い時代のいまどきの日本に、1500ccにマニュアルが用意されていたのは、若干驚きだったが、他のメーカーにもあるのだろうか?
◆そんなことより、乗ってみたら、アクセラ、ビックリしたのである。
(2/2につづく)