チリの世界地図–島国だけではないゴーン事件の国際性・その3
日本の世界地図は日本が真ん中にあるけれど、世界的には極東の端っこだ、と思っていたら、チリの世界地図はひっくり返しらしい。世界の“常識”はぜんぜん違う、という視点で見たゴーン事件の行方。
(その2からつづく)
その3 エクレストンとゴーン
◆バーニー・エクレストンとカルロス・ゴーン。まったく無関係に見えるが、こう考えてみよう。カルロス・ゴーンは、エクレストンに憧れていた、と。
◆いや、憧れという言葉は正しくないか。嫉妬していた、という方が当たっているかもしれない。ゴーンの口からは、「憧れ」も「嫉妬」も出るとは思えないが、ゴーンは、“エクレストンのような”地位と名声がほしいと思っていたのではないか、ということだ。
◆財力の世界ランキングを伝えるFOVESをみれば、この憶測があながち間違いではないことに気付くはずだ。F1GPを現在の形に構築したバーニー・エクレストンは、巨万の富を築いてFOVESのランキングに登場しているが、ゴーンの名前は出たことはない。格が違うのだ。
◆全盛期の2005年にイギリスの長者番付の3位にランクインしたバーニー・エクレストの当時の資産総額は、24億ポンド。邦貨で約335,646,000,000円。3千3百50億円と書いた方が分かりやすいだろう。ゴーンの数10億円など消し飛ぶ数字だ。
◆マクラーレンの代表だったロン・デニスと比較してもいい。デニスは2016年限りで、30年前は、出資パートナーとして蜜月関係にあったアラブの大富豪のマンスール・オジェにはじき出される形でマクラーレンを去った。敗者に見えるデニスはしかし、“退職金”として400億円ほどを受け取ったといわれる。これだけで、ゴーン事件の総額の10倍とはいわないが、5倍以上の額になる。
◆こんな比較はどうだろう。モリゾーこと豊田章男社長は、創業者一族として君臨しているが、ゴーンと日産に血縁関係はない。言ってしまえばゴーンは雇われ社長にすぎない。ここでも、ゴーンは置いていかれている。
(その4につづく)